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外国人の人権享有主体性2



「外国人の人権享有主体性1」からの続きです。 「外国人の人権享有主体性1」と同様に、行政書士試験、公務員試験のいずれにおいても 重要なところです。しっかりと勉強しましょう。

「外国人は、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、 その保障が及ぶ」、としても、各別に見ていく必要があります。

「外国人の人権享有主体性1」で少し見ましたね。入国の自由はない、というのがまさにそれです。

では、それ以外はどうなっているのでしょうか。過去問を見ていくと、押さえておくべき 代表的なものがいくつか見えてきます。まずは、そこを押さえましょう。

マクリーン事件判決は、外国人の政治活動の自由についても判示しています。

「政治活動の自由については、わが国の政治的意思決定またはその実施に影響を及ぼ す活動等、外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でないと解されるものを 除き、その保障が及ぶ」

このように言っています。つまり、「政治活動の自由については、・・・その保障が及ぶ」と 言っていますので、外国人にも保障されていることになります。
ただし、「外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でないと解されるものを 除き」と言っていることからも、日本国民とはとの保障の程度が異なります。これは わかりますよね。国民主権からくる結論です。日本の政治的な意思の決定に影響を与 えるには、日本国民である必要があるわけです。誤解を恐れず極端なことを言えば、外国人 にこの保障を与えることによって、国を乗っ取られてはたまったものではありません。


この流れで、昨今いろいろと問題になっているのが、参政権です。選挙権と被選挙権です。
国政の参政権が外国人に保障されていないことについては、ほぼ争いがないです。こ れは、国民主権だからです。国民主権というのは、簡単に言えば、国政の最終的な決 定権が国民にあることです。「国民」に、外国人が含まれないことはいいですよね?
ですから、国政の参政権は外国人には保障されていないのです。

問題なのは、地方参政権です。これについては、最近重要な判例が出ています。最近 と言っても、10年以上前ですが・・・。

最判平7・2・28
「定住外国人については、その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の 公共的事務の処理に反映させるべく、法律で、地方公共団体の長、その議会の議員な どに対する選挙権を付与する措置を講じることは、憲法上禁止されているものではない」

これ、非常に重要です。学問的にも重要なのですが、「試験対策」という点からも重要です。 試験対策として重要というのは、つまり、よく出題されているということです。

この判例の意味するところは、憲法上定住外国人に地方選挙権が認められているわけ ではない。でも、法律で定住外国人に地方選挙権を与えたとしても、憲法違反にはな らない、ということです。

昔、私が大学の教授にこの判例について質問したところ、この判例について下記のように 説明してくれました。

「A市の住民は、A市の図書館が使えますよね。B市の住民は、A市の図書館が使え ないのが普通です。でも、A市の取り決めで、B市の住民にもA市の図書館を使える ようにすることも出来ます。この場合、B市の住民が使えるのは、A市の恩恵による ものです。この判例はそれと同じです。」

このようにおっしゃっていました。わかるような、わからないような説明ですよね(先生 すみません!)。

おそらく先生がおっしゃりたかったのは、本来は選挙権がない(図書館は使えない) が、法律で(A市の取り決めで)選挙権を付与することができる(図書館を使えるよう にすることが出来る)、ということだと思います。

憲法上、外国人に地方参政権を認めているのではないのです。憲法上認めているので あれば、当然に地方参政権が認められるはずです。
しかし、そうではない、ということです。憲法は外国人に地方参政権を認めてはいない けれども、認めることを禁止もしていない。法律で認めてもよいということです。


この判例は、少なくとも結論だけは覚えてくださいね。行政書士試験においても、 公務員試験においても、非常に重要な判例です。

憲法上は定住外国人に地方選挙権が認められているわけではない。
法律で定住外国人に地方選挙権を与えたとしても、憲法違反にはならない。


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