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外国人の人権享有主体性1



外国人の人権享有主体性の問題は、憲法の勉強をしていくうえで、とても重要な論点です。また。 行政書士試験や公務員試験においても、とても重要です。つまり各試験において、頻繁に 出題されているということです。ですから、しっかりと学習しましょう。

人権享有主体性
そもそも「人権享有主体性」って何でしょうか。
憲法には、様々な人権が規定されていますよね。簡単に言えば、人権享有主体性の問 題はこれらの人権を有しているのは誰か、という問題です。

まず、問題なく自然人である日本人は有しています。そもそもは、そのために憲法が あると言っても過言ではありません。

では、外国人はどうなるのでしょうか。有しているのでしょうか。このような問題が 人権享有主体性の問題なのです。


外国人
憲法の第2章の表題を見てみますと、「国民の権利及び義務」と書いてあります。

それだけから考えてみますと、「国民」と書いてあるわけですから、外国人は人権享 有主体がないようにも考えられますよね。外国人は「国民」ではないですもんね。

でも、結論から御話ししますと、外国人にも人権の享有主体性はあります。

これは、そもそも人権というものは、人が人たるがゆえに認められるものです。日本 国籍があるから人権を認められるものではありません。これを「人権の前国家的性格」 といいます。「国家が存在するより前から人権というものは存在する」ということで す。別段日本人だから認められるものではありません。

外国人だって「人」です。当たり前です。

ですから、外国人にも人権享有主体は認められるのです。


ところで、外国人にも、人権享有主体が認められるとしても、すべての人権の享有主 体性が認められるわけではありません。

ここで有名な判例があります。マクリーン事件判決です。
最判昭53・10・4
「憲法第三章の諸規定による基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをその 対象としていると解されるものを除き、わが国に在留する外国人に対しても等しく及 ぶ」

この判例は、外国人にも憲法の人権保障が及ぶことを言いながら、同時にすべての人 権ではなく、保障される人権は「権利の性質」によって決まることを言っています。
これを性質説と言います。

日本国民のみをその対象としていると解される権利ってなんでしょうか。

例えば、国籍離脱の自由があります。これは、日本国籍を離脱する自由です。外国人 はもともと日本国籍を有していませんから、「日本国籍を離脱」ということは考えら れないですよね。

ではここで、出題されている(されそうな)問題点をみていきましょう。

まず、入国の自由は外国人には認められていません。どの国も、「外国人に対して自 由に入国できる」という権利を認めてはいないのです。これは国際慣習法上当然のこ ととされています。

問題は、再入国の自由です。再入国の自由とは、滞在資格を有する外国人が滞在期間 の満了前に再入国の意思をもって出国する場合に、自由に再入国することです。この 権利が認められるかどうかが問題となっています。

先ほど取り上げたマクリーン事件判決は、この再入国の自由が問題となった事件でし た。
マクリーン事件判決は、入国の自由と同様に、外国人には再入国の自由は認められて いない旨を判示しています。

つまり、外国人には、日本国への入国も再入国も、権利としては認められていないわ けです。


マクリーン事件判決は、重要な判例であり、また別のところでも取り上げます。今回のところで は、上記のことを押さえておきましょう。



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