予算の修正
|
|
予算の提出権は、内閣にあります。これについては、疑問を挟む余地があ りません。予算の提出権が内閣にあるということは、逆から言えば、国会 議員がこれを行うことは出来ない、議員には予算提出権がないということ です。 内閣が国会へ予算を提出するとしても、国会がこれに対して減額ないし増 額修正できるか、という問題があります。 一般に、減額修正は可能であると考えられています。これは、次のように 考えられています。そもそも国会としては、否決することも出来るわけで す。「否決」というのは、全部の否定です。これに対して「減額修正」と いうのは、一部の否定です。減額している部分について、否決しているこ とになります。ですから、大きいことができるなら、小さいこともできる だろうという考え方です。いわば、大は小を兼ねるということです。 他方、増額修正はどうでしょうか。この点についてはいろいろ考え方がわ かれていますが、一般に「増額修正できる」という考え方が主流のようで す。そもそも国会は国権の最高機関ですし、財政について民主的なコント ロールを及ぼす必要性から、増額修正を認めていると考えられます。 ただし、どこまで出来るかという点につき、最初の内閣提出案と同一性を 損なうような、大幅な修正はできないという考え方と、限界なく出来ると いう考え方と、二つにわかれているようです。 ちなみに、ここでの話は、予算の法的性格について、予算法形式説を採っ た場合の話です。予算法律説を採れば、理論上は国会の修正権に、限界は ないことになります。なぜなら、そもそも国会は法律を作る権限を有する ところだからです。そもそも普通の法律の作成に、国会に修正権は当然あ り、その修正権に限界があるはずもありません。そして、予算法律説を採 れば、予算は法律なのですから、国会の修正権に限界があるはずがない、 というのが、理論的な帰結となるはずなのです(実際上の問題は別)。 無断転載・転送を禁じます。 Copyright(C)2004 後藤行政書士事務所 All Rights Reserved. |