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労働権





ここでは、労働権について取り上げます。行政書士試験にしても公務員試験にしても、 過去においてあまり出題頻度は高くありません。労働権だけでの出題というよりは、 公務員の人権の出題とのからみで、労働権が出題されたりしています。労働権だけで なく、他の論点とのかかわりあいを意識しながら勉強していきましょう。

近代社会の発展の中で、労働者というものは劣悪な環境の中で労働を強制されたり、 厳しい生活を余儀なくされたりしてきました。その原因の一つが、資本家(使用者) との関係において労働者というものは劣位にあることが挙げられます。どうしても労 働者は弱い立場になりがちです。

しかし、いつまでも弱い立場に置かれたままですと、いつまで経っても労働者の地位 が向上しませんし、生活もよくなりません。

そこで出てきたのが労働権というものです。この労働権を保障することによって、弱 い立場にある労働者を資本家と対等の立場に立たせることによって、労働者の労働環 境をよくし、生活を改善させようというわけです。

日本国憲法においては、憲法27条と28条に労働についての規定があります。その 中でも、28条において「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をす る権利は、これを保障する」と規定されています。この規定は「団結権」、「団体交 渉権」、「団体行動権」とされ、労働三権と言われたりしています。

これら労働権には様々な側面があるのですが、重要な点として、これらの規定は私 人間にも直接適用されるということです。

そもそも労働権は、対資本家との関係で発達してきた権利です。労働者も私人ですが、 資本家も私人です。ですから、対私人(資本家)との関係で適用がなければ、意味が ありません。よって、私人間にも直接適用があるのです。

このことは、正当な争議行為においては、民事責任を問われないという点に現れます。 争議行為というのは、ストライキです。ストライキというのは、仕事をしないわけで す。通常であれば、仕事をしないことによって損害賠償させられたり、給料が下がっ たり、解雇されたり、することがあります。
しかし、正当な争議行為であれば、こういった民事責任を問われることはないのです。 それは、この労働権が私人間にも直接適用されるからなのです。そもそも労働権は、 私人間にも適用されることを前提としているとも言えるでしょう。


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