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二重の基準論1




二重の基準論というのは、行政書士試験ではあまり出ないかもしれませんが、公務員 試験では、比較的聞かれている箇所だと思います。何より、憲法の中でも重要な箇所 です。しっかりと勉強しましょう。

人権の中にある自由権にも、いろいろな種類がありましたよね。大きくわけて、精神 的自由権と経済的自由権がありました。この中で、精神的自由権は民主制の過程の中 で優越的地位にあるという言い方をします。

これってどういうことなのでしょうか。

民主制の過程というのは、つまり、選挙をして代表者(国会議員など)を決め、その 代表者が議論を尽くして法律を作成したりすることをいいます。

この過程が正常に働いている時はよいのですが、正常に働かなくなった場合はどうな るでしょうか。

正常に働かないということは、どこかに異常があるわけです(これを「瑕疵がある」 と言います)。例えば、表現の自由が制限されるという場合です。表現の自由を制限 する法律が出来ると、どうなるでしょうか。

表現の自由が制限されるわけですから、自由にものが言えないこともありえます。例え ば、共産主義を主張することが出来ないなどです。そうなりますと、選挙のときに、 共産主義を主張して選挙運動が出来なくなります。表現できないわけですから。 その結果、共産主義を主張する人は代表者に選ばれることはなくなりますよね。主張 できませんから。
よって、それ以外の考え方の人が代表者に選ばれることになるわけです。

このように、表現の自由を制限することは、その考えを主張している人を代表者から 締め出すことになります。これではそもそも表現の自由を保障した意味がないわけで す。

しかも、民主制の過程に瑕疵があるわけですから、これからその法律を廃止しようと 思っても出来ません。なぜなら、共産主義の主張を制限することに賛成の人達が 代表者になっているわけですから。共産主義を主張したい人達は、表現すること を制限されているので、主張できません。

このような事態は民主制の過程が正常に働いていないので、法律の合憲性が民主制の 過程の中で判断することが出来ません。

そこで、民主制の過程の外にいる裁判所が積極的に判断すべきだということなので す。

他方、経済的自由権を制限されても、民主制の過程に瑕疵があるわけではありませ ん。もしその法律が気に入らなければ、そのような法律を作った代表者(国会議員な ど)に、次の選挙で投票しなければよいのです。表現の自由は制限されていないわけ ですから、そのような経済的自由権を制約する法律を制定することを阻止しようと活 動すればよいわけです。つまり、そのような主張も可能です。
そして、当該法律を廃止してくれる人に投票すればよいのです。そうすることによっ て、国民自らの意思によって、法律の制定をしたり、阻止したり、また廃止したりと 出来るわけです。

ちなみに、私は共産主義者ではありません。先ほどの例は、あくまで教室事例です。


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