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内閣1



内閣については、明治憲法には規定がありませんでした。このことは、覚えておいて下さい ね。

現在の日本国憲法においては、65条以下において内閣について規定されています。

65条において、「行政権は、内閣に属する」と規定されていますが、この規定と41条の 立法権の規定、及び76条の司法権の規定とで、憲法が三権分立を採用しているものとされ ています。

ところで、三権分立を表す「行政権が、内閣に属する」(65条)という規定については、 41条や76条と異なった注意すべき点があります。

41条には「唯一」という言葉が、76条には「すべて」という言葉がそれぞれあります。

これに対して、65条にはこのような言葉がありません。

ということは、行政権を行使するのは、内閣だけではないのではないかという問題が生じま す。


ちょっと考えてみましょう。

実際に行政権というものは、広範にわたります。行政のなかには、内閣が行使することにな じまないものもあります。つまり、内閣というものは多かれ少なかれ政治的な色合いをもっ ています。

しかし、このような政治的な作用とは相容れなかったりなじまなかったりする場合があるの です。例えば、人事院や公正取引委員会などです。人事院はその名のとおり人事にかかわる ことを扱っていますが、そこに政治的な色合いを込めることは望ましくないわけです。

さらに、現代においては行政の役割が大きく、行政権の肥大化現象が起きております。そう なると、三権分立のバランスが悪くなってしまいます。内閣がすべての行政権を有するより は、他の機関が行政権を行使したほうがバランスがよいです。

しかも、そもそも議院内閣制というものは、内閣を国会のコントロールの下におき、民主的 なコントロールを及ぼすことによって、民主的な責任行政を果たそうとしたわけです。

ですから、行政権の行使について、内閣に属していなくても、国会のコントロールの下にあ れば、民的責任行政を果たせるわけです。

したがって、行政権を行使できるのは内閣だけではなく、特定の行政について、内閣から独 立した立場で行政権の行使を認められている機関があり、これを独立行政委員会といいます。

このようにして認められている実際の独立委員会には、先ほども挙げた人事院や公正取引委 員会、さらには国家公安委員会などがあります。

この独立行政委員会の合憲性については、わりと出題されています。学問的にも重要なとこ ろです。ぜひ覚えておきましょう。


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