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教育を受ける権利




「教育を受ける権利」です。よく「教育を受ける義務」と間違える方がいますが、そのような 義務は憲法のどこを探しても書いていません。間違えないようにして下さい。

この教育を受ける権利は、直接的には子供に対しての保障です。つまり子供の学習権を保障 しているわけです。しかし、近年においては、それだけに限らず、成人が社会教育を受ける 権利も含まれているものとする考え方がある点に、注意が必要です。

成人の場合については、ちょっとおいておくとしまして、子供の学習する権利について、 よく出題されている重要な問題があります。

子供の教育内容を決定する権能を有しているのはどこかという点です。教育内容を誰が決定 するのかということです。

この点については、国が関与決定する権能を有しているとする国家教育権説と、親及び教師 を中心とする国民全体であるとする国民教育権説とが、大きくわけてありました。

この争いにつき一つの指針を示しているのが、旭川学力テスト事件判決です。
最判昭51.5.21
「いずれも極端かつ一方的であり、そのいずれも全面的に採用できない」
と判示しています。

この判例では、教師の教育の自由を一定の範囲において認めながら、国も国政の一部として 教育施策を樹立、実施し、教育内容についても決定する権能を有しているものとしています。 教師にも教育の自由は認めます。しかし、一方で確かに、教師の教育の自由を完全に認める ことは出来ないのは、学問の自由でお話したとおりです。まあ、いわゆる折衷的な感じです。


また、義務教育について、この「義務」とは何かについてもよく出題されています。

義務教育は無償と憲法には規定されています。一体、この義務教育は無償というのは、何を 意味しているのでしょうか。つまり学校におけるすべての費用が無償となるのでしょか。

学校ではいろいろとお金がかかりますよね。授業料に始まり、教科書代、給食費、修学旅行 などにもお金がかかります。これらのすべてなのでしょうか。それとも一部だけなのでしょうか。 それがここでの問題です。

憲法では、「義務教育は、これを無償とする。」としか定められていません。つまりこれは どこまで無償とするかは争いのあるところなのです。

現在は、公立の小中学校においては、授業料や教科書代が無償になっていることと思います。

しかし、判例は、次のように判示しています。

最判昭39.2.26
「本条2項(26条2項)の意味は、授業料を徴収しないこと」

つまり、授業料がタダだということです。現在においては教科書も無償になっていますが、 これを有償にしてもよいということです。

もちろん無償の箇所が増えれば、それは国民にとっては利益ですから、問題ないことでしょう。

でも、もし、無償を授業料だけにして教科書を有償にしても、憲法には違反しないということなのです。

なぜか知りませんが、このことがわりと出題されていますから、覚えておいてくださいね。


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