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【 解答 】




【 解説 】

◆1
本問における会社は公開会社です。公開会社においては、取締役の資格を当該株式会社の株主に限定する旨を定款で定めることができません(331条2項)。よって、取締役の資格を当該株式会社の株主に限定する旨の定款変更決議は、法令違反となります。株主総会の決議について、決議の内容が法令に違反する場合には、決議が無効であることの確認を、訴えをもって請求することができます(830条2項)。したがって、株主総会の決議無効確認の訴えにおいて無効原因となります。
なお、株主総会の招集手続が一切なされなかったとしても、株主の全員が総会の開催に同意して出席した全員出席総会において決議をしたときは、総会の決議は有効に成立します(最判昭60年12月20日)。なので、招集手続が一切なされなかったことは、問題になりません。それにそもそも招集手続が法令に違反したことは総会の決議取消原因であって、無効原因ではありません(831条1項1号)。

よって、肢1は無効原因となります。


◆2
取締役会設置会社においては、株主総会は、取締役会の決議に基づき、代表取締役が招集しなければなりません(298条1項4項)。そして、代表権のない取締役が取締役会の決議に基づかずに招集した株主総会は、法律上の意義における株主総会ということができず、決議不存在事由(830条1項)となるとされています(最判昭45年8月20日)。

よって、肢2は無効原因となりません。


◆3
取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとされています。ただし、定款又は株主総会の決議によって、その任期を短縮することは妨げられません(332条1項)。したがって、取締役の任期を、選任後1年以内に終了する事業年度に関する定時株主総会の終結の時までとする株主総会決議は有効です。

よって、肢3は無効原因となりません。


◆4
そもそも株主は、代理人によってその議決権を行使することができます(310条1項)。そこで、本肢のように総会の議決権を代理行使する者を、当該株式会社の株主に限定する旨の定款変更がなされると、株主の議決権行使が制限されるのではないかが問題となります。この点について判例は、総会の議決権を代理行使する者を、当該株式会社の株主に限定する旨の定款の規定は、株主総会が株主以外の第三者によってかく乱されることを防止し、会社の利益を保護する趣旨に出たものと認められ、合理的理由による相当程度の制限ということができるので、有効であるとしています(最判昭43年11月1日)。したがって、本肢の定款変更決議は有効です。

よって、肢4は無効原因となりません。


◆5
特定の株主が保有する株式を当該株式会社が取得することを承認するための株主総会に、当該株主が議決権を行使することはできません(160条4項)。この場合の当該株主は特別利害関係人にあたります。そして、株主総会の決議について特別利害関係人が議決権を行使したことによって、著しく不当な決議がされたときは、株主総会の決議取消事由になります(831条1項3号)。

よって、肢5は無効原因となりません。


以上より、正解は肢1です。



【 解き方 】

各肢の総会決議が法の規定に合致しているか否かだけでなく、無効原因となるのか取消原因となるのか、または不存在なのかまで判別しなければならず、かなりの難問ではないかと思います。そんな中でも、肢3と肢4あたりは、合格するためには最低限知っておくべき知識だと思います。



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