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【 解答 】
4
【 解説 】
◆ア
本肢は、特別決議の要件です(309条2項)。しかし、その発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設ける定款の変更を行う株主総会(種類株式発行会社の株主総会を除く)の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の半数以上(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)であって、当該株主の議決権の3分の2(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければなりません(特殊決議、309条3項1号)。株主の投下資本回収の道を確保するため、通常の定款変更(特別決議、309条2項)よりも要件が厳しく定められています。
よって、肢アは誤っています。
◆イ
譲渡制限の定めのある株式を他人(当該譲渡制限株式を発行した株式会社を除く)に譲り渡そうとする株主は、譲渡による株式の取得について承認をするか否かの決定をすることを会社に対して請求できます(136条)。当該株式を譲り受ける者と共同して行う必要はありません。他方、株式取得者から請求する場合には、利害関係人の利益を害するおそれがない場合を除き、その取得した株式の株主として株主名簿に記載され、若しくは記録された者又はその相続人その他の一般承継人と共同して行わなければなりません(137条1項2項)。簡単に言えば、権利を失う者(譲渡人)が、譲渡承認の請求をしているんだから単独でいいよ、ということです。
よって、肢イは誤っています。
◆ウ
その通りです。譲渡制限の定めのある株式の譲渡による取得について承認をするか否かの決定をすることを請求された会社が、この請求の日から2週間(これを下回る期間を定款で定めた場合はその期間)以内に譲渡等の承認請求をした者に対して当該決定の内容について通知をしなかった場合は、当該会社と譲渡等の承認請求をした者との合意により別段の定めをしたときを除き、承認の決定があったものとみなされます(145条1号)。
よって、肢ウは正しいです。
◆エ
譲渡制限の定めのある株式の譲渡による取得を承認しない旨の決定をした会社は、当該譲渡等承認請求に係る譲渡制限株式を買い取らなければなりません(140条1項柱書)。その際、対象となる株式の全部または一部を買い取る者を指定することができます(同条4項)。この指定は、定款に別段の定めがない限り、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議により決定します(同条5項)。本問における会社は取締役会設置会社ですから、取締役会の決議で決定します。
よって、肢エは正しいです。
◆オ
譲渡制限の定めのある株式の譲渡による取得を承認しない旨の決定をした場合には、会社は当該株式を買い取らなければなりません(140条1項柱書)。この当該株式を買い取る場合は、対象となる株式を買い取る旨、および会社が買い取る株式の数について、株主総会の決議により決定しなければなりません(140条1項1号2号、同条2項)。なお、この株主総会決議は、特別決議を要します(309条2項1号)。
よって、肢オは誤っています。
以上より、正しいものはウ・エで、正解は肢4です。
【 解き方 】
譲渡制限株式についての出題です。問題文の冒頭に「取締役会設置会社」と記載されていることを、見逃さないようにして下さい。これを見逃すと、肢エで間違えてしまいます。さり気なく冒頭に記載してありますが、これが重要です。肢エではなく、冒頭に記載してあるのは、受験生が見逃すことを意図している(期待している)ものと思われます。
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