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【 解答 】




【 解説 】

◆ア
本肢においては、Cが時効を援用できる当事者(145条)となるかが問題です。まず判例は、時効を援用できる当事者は、時効によって直接に利益を受ける者をいい、間接に利益を受ける者は当事者ではないとしています(大判明43年1月25日)。そして借地上の建物の賃借人は、土地の取得時効の完成によって直接利益を受ける者ではないとして、賃貸人による敷地所有権の取得時効の援用を否定しています(最判昭44年7月15日)。したがって、Cは、Bに対して甲土地にかかるAの取得時効を援用することができません。

よって、肢アは誤っています。


◆イ
いわゆる賃貸人たる地位の移転の問題です。賃料を請求するためには賃貸人たる地位を賃借人に主張できなければなりません。この点について、判例は、他人に賃貸中の不動産を譲り受けた者が、賃貸人たる地位を取得したことを賃借人に主張するためには登記を経由しなければならず、登記を取得しなければ賃料を請求できないとしています(最判昭49年3月19日)。

よって、肢イは正しいです。


◆ウ
第三者弁済に関する問題です。第三者弁済は、利害関係を有しない第三者は、債務者の意思に反して弁済することができません(474条2項)。つまり、Cが利害関係を有していない場合には、Aに無断で支払うことができないことになります。判例は、この利害関係とは、弁済することについて法律上の利害関係を有することとしています(最判昭39年4月21日)。そして、借地上の建物の賃借人は、借地の賃料の支払について法律上の利害関係を有するとしています(最判昭63年7月1日)。

よって、肢ウは誤っています。


◆エ
そもそも賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡すことができません(612条1項)。そして、賃借地上の建物の売買契約が締結された場合には、特段の事情のない限り、売主は買主に対し敷地の賃借権をも譲り渡したものと認められます(最判昭47年3月9日)。したがって、AはBの承諾を得る必要があります。

よって、肢エは正しいです。


◆オ
その通りです。土地の賃貸人(B)と賃借人(A)との間で締結された土地賃貸借契約を合意解除しても、特段の事情のない限り、土地の賃貸人(B)は解除をもって賃借人が所有する建物の賃借人(C)に対抗することができません(最判昭38年2月21日)。

よって、肢オは正しいです。


以上より、誤っているものはアとウであり、正解は肢2です。



【 解き方 】

このような問題のときには、問題用紙の余白に図を書くことをおすすめします。Aが誰で、Bが誰なのか、混同しないようにしないと、結論を間違えてしまいますので、気をつけて下さい。



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