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【 解答 】




【 解説 】

◆ア
建物がAの火の不始末により消失してしまった以上、Aの債務は履行不能になります。この場合には債権者Bは引渡し期日が到来したか否かに関係なく、契約の解除をすることができます(543条)。履行不能になった以上は、履行期(引渡し期日)を待っていても仕方がないからです。

よって、肢アは妥当ではありません。


◆イ
履行遅滞による解除(541条)です。この場合、解除権者は相当期間を定めて履行の催告をする必要があります。もし期間を定めないで催告をしたとしても、催告の時から相当の期間が経過すれば解除ができます。改めて相当の期間を定めて催告をする必要はありません(大判昭2年2月2日)。

よって、肢イは妥当ではありません。


◆ウ
その通りです。当事者の一方が数人ある場合には、契約の解除は、その全員から又はその全員に対してのみ、することができます(解除の不可分性、544条1項)。したがって、Cが、当該売買契約を解除するためには、Aに対してのみ解除の意思表示をするのでは足らず、AとBの両方に対して解除の意思表示をしなければなりません。

よって、肢ウは妥当です。


◆エ
Cは、いわゆる解除前の第三者です。解除には遡及効がありますが、第三者の権利を害することは出来ません(545条1項但書)。そしてCが第三者として保護を受けるためには、その権利について対抗要件を備えていることが必要です(最判昭33年6月14日)。したがって、「C名義への移転登記が完了しているか否かに関わらず」、Cがこの土地の所有権を主張することができるわけではありません。

よって、肢エは妥当ではありません。


◆オ
AC間は、いわゆる他人物売買(560条以下)です。他人物売買においては、売主がその売却した権利を取得して買主に移転することができないときは、買主は、契約の解除ができます(561条前段)。契約の解除をした場合には、解除には遡及効がありますから、各当事者は、その相手方を原状に回復させる義務を負います(545条1項本文、最判昭51年2月13日)。したがって、AC間の契約を解除したことにより、Cは、Aに対しこの自動車の使用収益(相当額)を返還する義務を負います。

よって、肢オは妥当です。


以上より、妥当なものはウとオであり、正解は肢5です。



【 解き方 】

組合せ問題ですから、わかる肢から消去法で解いていくのがいいでしょう。アとエは基礎的事項であり、わかりやすいと思います。イも、要件を勉強する際に必ず出てくる論点ですので、すぐにわかった受験生も多いと思います。オはややわかりにくいかもしれませんが、ウは共有のところでも出てくる論点ですから、知っている受験生も多いと思います。



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