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【 解答 】




【 解説 】

◆1
遺産分割協議は、共同相続人の間で相続財産の帰属を確定させる行為であり、その性質上、詐害行為取消権の対象となる財産権を目的とする法律行為であると言えます(最判平11年6月11日)。

よって、肢1は妥当ではありません。


◆2
その通りです。相続放棄について、判例は本肢のように述べて、詐害行為取消権行使の対象とはならないとしています(最判昭49年9月20日)。

よって、肢2は妥当です。


◆3
原則と例外が逆です。判例は、離婚に伴う財産分与として金銭を給付する旨の合意は、その額が民法768条3項の規定の趣旨に反して不相当に過大であり、財産分与に仮託された財産処分と認めうる特段の事情があるときは、不相当に過大な部分について、その限度において詐害行為として取り消されるべきであるとしています(最判平12年3月9日)。つまり、原則として詐害行為取消権の対象とならないが、例外として詐害行為取消権の対象となる場合があるというスタンスです。これに対して本肢は、原則として詐害行為取消権の対象となるが、例外として詐害行為取消権の対象とならない場合があるというスタンスです。

よって、肢3は妥当ではありません。


◆4
詐害行為取消権は、総ての債権者の利益のために債務者の責任財産を保全する目的において行使されるべき権利であるという前段部分は正しいです。後段部分が誤りです。判例は、債権者が複数存在する場合であっても、取消債権者の債権全額について取り消しうるのであって、弁済を受けるべき割合額で取り消しうるのではないとしています(大判昭8年2月3日)。

よって、肢4は妥当ではありません。


◆5
詐害行為取消権は、総ての債権者の利益のために債務者の責任財産を保全する目的において行使されるべき権利であるという前段部分は正しいです。後段部分が誤りです。判例は、取消しに基づいて返還すべき財産が金銭の場合には、取消債権者は直接自己に金銭を引き渡すことを請求できるとしています(大判大10年6月18日)。

よって、肢5は妥当ではありません。


以上より、正解は肢2です。



【 解き方 】

詐害行為取消権全般についての出題です。肢1〜3が要件に関する出題で、親族相続法上の各行為が詐害行為となるか否かについて、肢4が取消の範囲について、肢5が方法について、それぞれ出題されています。詐害行為取消権は論点も多く、またそれだけ判例も多い箇所です。相続放棄が詐害行為取消の対象とならないというのは、かなり有名な論点ですから、他の肢の正否がわからなくても、正解にたどり着けた受験生は多かったのではないでしょうか。知らなかった受験生はこの機会にしっかりと覚えておいたほうがいいでしょう。



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