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【 解答 】




【 解説 】

◆1
Aは、事務機器甲をBに売買しているので、動産売買に基づく先取特権を取得します(311条6号)。動産売買の先取特権は、動産の代価及びその利息に関し、その動産について存在します(321条)。動産の先取特権は、債務者が目的物(本問における甲)を第三取得者に引き渡した後は、行使することはできません(333条)。本肢においては、Bが甲をCに引き渡しています。したがって、甲につき先取特権を行使することができません。

よって、肢1は妥当ではありません。


◆2
まず、そもそも所有権が誰にあるかですが、所有権は意思表示合致があれば移転します(176条)。本問では、AB間で売買契約があり、BC間でも売買契約があるので、所有権はCにあります。他方、同時履行の抗弁権(533条)は、双務契約の効力であり、契約当事者及び債権債務の譲受人に対してのみ主張できます。第三者には主張できません。本肢のCはAB間の契約当事者ではありませんし、AB間の債権債務の譲受人でもありません。したがって、Aは同時履行の抗弁権を行使してこれを拒むことができません。

よって、肢2は妥当ではありません。


◆3
所有権留保特約をどのように法的構成するかについては争いがありますが、判例は所有権的構成説をとっています。つまり、売主は所有権を留保し、買主は代金を完済するまで物の利用権を有するに過ぎないという構成です。この所有権的構成に従うと、Aが所有権を留保していることになりますので、Bには所有権がありません。ゆえに、Bに所有権がなければ、Cはそれを承継取得することはできません。したがって、所有権留保特約が存在し、AがBから売買代金の支払いを受けていない場合には、これらの事情はCが甲の所有権を承継取得することを妨げることになります。

よって、肢3は妥当ではありません。


◆4
その通りです。Cは所有者として、所有権に基づく引渡を請求できます。他方、Aは買代金の支払いを受けていなければ、留置権を主張して、引渡を拒むことができます。留置権(295条1項)は物権ですから、第三者(本肢のC)に対しても主張できます。

よって、肢4は妥当です。


◆5
Cは、いわゆる解除前の第三者です。解除には遡及効がありますが、第三者の権利を害することは出来ません(545条1項但書)。そして解除前の第三者が保護されるためには、判例は対抗要件を備えていることが必要だとしています(最判昭33年6月14日)。動産の対抗要件は、引渡しです(178条)。本肢においては、Aが甲をまだBに引き渡していないので、Cは対抗要件を備えていません。したがって、Aは、Cからの所有権に基づく甲の引渡請求を拒むことが出来ます。

よって、肢5は妥当ではありません。


以上より、正解は肢4です。



【 解き方 】

肢2と肢4が同じような状況で、しかもAの主張が留置権か同時履行の抗弁権かの違いだけです。なので、いずれかが正解肢ではないかと、いちおうの推測ができます。同時履行の抗弁権と留置権は同じような機能を有しますが、違いをきちんと理解していないと、本問では間違えてしまいます。



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