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【 解答 】




【 解説 】

錯誤とは、内心的効果意思と表示行為とが異なっており、それを表意者自身が知らないことを言います。簡単に言えば、心の中で思っていることと口に出した言葉が食い違っており、それをその人自身が知らない場合です。

◆ア
法律行為の要素に関する錯誤というためには、一般取引の通念において、法律行為の主要部分につき錯誤がなければ当該意思表示をしなかったであろうと考えられる場合です。要は、当該表意者のみにとってではなく、一般的に錯誤がなければ意思表示をしなかったと考えられる場合です。

よって、肢アは妥当ではありません。


◆イ
法律行為の相手方の誤認(人違い)の錯誤については、賃貸借や委任においては法律行為の要素の錯誤となりやすいが、売買においては法律行為の要素の錯誤とはなりにくい。賃貸借や委任においても、必ず要素の錯誤となるわけではありませんが、賃貸借契約や委任契約は、人と人との結びつきや信頼関係が強い契約であると考えられているので、契約の相手方が違うのであれば、当該契約をしないであろうと考えられるからです。本肢は、結論が逆になっています。

よって、肢イは妥当ではありません。


◆ウ
原則として、動機の錯誤は法律行為の要素となりません。しかし、表意者が動機を意思表示の内容に加える意思を明示又は黙示したときは、意思表示の内容を組成し、その錯誤は要素の錯誤となり得ます(大判大3年12月15日)。したがって、動機が黙示的に表示されるにとどまるときであっても、法律行為の要素の錯誤となることがあります。

よって、肢ウは妥当ではありません。


◆エ
その通りです。錯誤による無効の主張は、原則的には表意者本人の利益のためにあるので、表意者本人が錯誤無効の主張をしないときには、相手方や第三者にからの無効主張はできません。しかし、第三者が表意者に対する債権を保全する必要がある場合において、表意者が意思表示の瑕疵を認めたときは、第三者たる債権者(簡単に言えば利害関係人)は債務者たる表意者の意思表示の錯誤による無効を主張することができます(最判昭45年3月26日)。

よって、肢エは妥当です。


◆オ
その通りです。表意者が錯誤に陥ったことについて重大な過失があったときは、表意者は、自ら意思表示の無効を主張することができません(95条但書)。この場合には、相手方が、表意者に重大な過失があったことについて主張・立証しなければなりません。錯誤無効の主張を封じることは相手方にとって利益があるからです(大判大7年12月3日)。

よって、肢オは妥当です。


以上より、妥当なものはエ・オであり、正解は肢5です。



【 解き方 】

錯誤について、基本的事項を問う問題です。組合せ問題ですから、わかる肢から消去法で解いていくのがいいでしょう。わかりやすいのはウとエあたりでしょうか。イについては、転貸借の解除における信頼関係破壊の理論を思い出せれば、賃貸借契約においては人と人との信頼関係で成り立つわけだから人違いは要素の錯誤になるのではないか、と考えが及ぶのではないかと思います。



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