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行政書士試験・公務員試験等合格講座−めざせ憲法の達人!
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【 解答 】




【 解説 】

◆1
判例は、一方が他方より優越的地位にある場合には私法の一般規定を通じ憲法の効力を直接及ぼすことができるとは言っていません。判例は、憲法の人権規定は、専ら国又は地方公共団体と個人との関係を規律するものであり、私人相互の関係を直接規律することを予定するものではないとしています。さらに、私人間においては、私的自治にゆだねられ、侵害の態様や程度が社会的に許容し得る限界を超えるときは、民法1条や90条などの諸規定等の適切な運用によって解決できるとし、間接適用説の立場にたっています(最大判昭48年12月12日)。この間接的溶接は、一方が他方より優越的地位にある場合にも適用されます。

よって、肢1は誤っています。


◆2
判例は、私立学校においては、建学の精神に基づく独自の伝統ないし校風と教育方針を実践することが認められ、学生の勉学を特に重視しあるいは比較的保守的な校風を有する大学が、学生の政治活動につきかなり広範な規律を及ぼしても、不合理な制限とはいえない、としています。そして、退学処分についても、退学処分の選択が社会通念上合理性を認めることができないようなものでないかぎりは、退学処分は学長の裁量権の範囲内にある、としています(最判昭49年7月19日)。したがって、学生の政治活動を理由に退学処分を行うことは憲法19条に反し許されないわけではありません。

よって、肢2は誤っています。


◆3
判例は、性別による差別を禁止する憲法14条1項の効力は労働関係に直接及ぶとは言っていません。確かに、男女間で定年に差異を設けることは、性別による不合理な差別を定めたものとして無効としていますが、それは民法90条により無効としています(最判昭56年3月24日)。

よって、肢3は誤っています。


◆4
その通りです。判例は自衛隊基地建設に関連して、国が私人と対等な立場で締結する私法上の契約は、実質的に公権力の発動と同視できるような特段の事情がない限り、憲法9条の直接適用を受けず、私法の適用を受けるにすぎないとしています(最判平元年6月20日)。

よって、肢4は正しいです。


◆5
本肢前段について判例は、企業者は、雇用の自由を有し、思想、信条を理由として雇入れを拒んでも、違法とすることはできないとしています(最大判昭48年12月12日)。よって、「労働者の思想信条を理由に雇い入れを拒むことは、理想信条の自由の重要性に鑑み許されない」としている前段は誤っています。後段については、いったん雇い入れた後は、思想信条を理由に不利益な取り扱いがなされることは憲法19条に違反しますので、許されません。よって、後段も誤っています。本肢は、結論において前段と後段が逆です。

よって、肢5は誤っています。


以上より、正解は肢4です。



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