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解答
5
【 解説 】
◆ア
限定承認とは、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認をすることです(922条)。この限定承認ができる期間というのは法定されていまして、限定承認をするには自己のために相続があったこと知った時から3ヶ月以内にしなければなりません(924条、915条1項)。そして相続人が数人いるときは、限定承認は共同相続人の全員が共同してのみすることができます(923条)。これは限定承認をした人としない人が混在すると、法律関係が錯綜するからです。
よって肢1は誤っています。
◆イ
相続回復請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から5年の間に行使しないときは、時効によって消滅します。また、相続開始の時から20年を経過したときも、同様に消滅します(884条)。したがって、死亡のときから5年を経過しただけでは消滅しません。
よって肢2は誤っています。
◆ウ
特別受益者の相続については、共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻、養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とします(903条1項)。すなわち、相続時の財産の価額に加えて計算するのは、贈与による特別受益の場合です。遺贈による特別受益ついては、相続時の財産の価額に加えて計算しません。
よって肢3は誤っています。
◆エ
相続人の欠格事由は法定されています(891条各号)。被相続人Eが相続人Aに対して虐待をし、又は重大な侮辱を加えることは、欠格事由に該当しません。但し、虐待をし、又は重大な侮辱を加えることは廃除事由に該当します。この場合には、被相続人はその推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができます(892条)。
よって肢4は誤っています。
◆オ
共同相続人は、遺言で分割の禁止が定められている場合等を除いて、いつでも遺産分割協議を行い、遺産の分割をすることができます(907条1項)。そして、遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その分割を家庭裁判所に請求することができます(907条2項)。死亡の時から5年以内に遺産分割協議がなされない場合に家庭裁判所に対し遺産分割を申し立てなければならないわけではなく、また相続人全員で申し立てなければならないわけでもありません。
よって肢5は誤っています。
以上より、アからオの五つすべてが誤っており、正解は肢5です。
【 解き方 】
個数問題ということもあり、非常に難しい問題です。各肢の内容も、アエオは基礎的な知識ですが、イウあたりはけっこう細かい知識です。個数問題の場合には、一つ難しい肢があれば、それだけで正解率はかなり下がりますから、ある程度考えたら、それ以上はあまり考え込まずに次の問題に進むのがいいと思います。
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