「行政書士試験・公務員試験等合格講座−めざせ憲法の達人!」のトップページ平成24年過去問>第34問

行政書士試験・公務員試験等合格講座−めざせ憲法の達人!
>行政書士試験過去問


解答




【 解説 】

◆ア
不法行為に基づく損害賠償について、被害者に過失があるときは、損害賠償の額を定めるときに裁判所は被害者の過失を考慮してその額を定めることができます(722条)。ここでいう被害者の過失については、判例は被害者本人の過失のみならず広く被害者側の過失を含むものと解しています(最判昭34年11月26日)。この被害者側の過失とは、被害者と身分上ないしは生活関係上一体をなすとみられるような関係にある者の過失をいいます(最判昭42年6月27日)。夫の運転する自動車に乗っていた妻が被害者の場合、原則として夫の過失はこの被害者側の過失にあたるとされています(最判昭51年3月25日)。したがって、夫原則としてBの過失も考慮されます。

よってアは妥当です。


◆イ
本肢のような共同不法行為によって負担する債務は不真正連帯債務となります。不真正連帯債務は連帯債務ではありませんから、連帯債務に関する規定は適用されません(最判昭57年3月4日)。したがって、免除の絶対効の規定は適用されず、CがBに対して損害賠償債務の一部を免除しても、原則としてAの損害賠償債務に影響はありません。

よってイ妥当です。


◆ウ
使用者が使用者責任に基づいて被害者に全額の賠償をした場合に、被用者に求償の問題です。この場合について判例は、損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度において、被用者に対し損害の賠償又は求償の請求をすることができるとしています(最判昭51年7月8日)。したがって、A社は、Bに対し、事情のいかんにかかわらずCに賠償した全額を求償することができるわけではありません。

よってウは妥当ではありません。


◆エ
工作物責任(717条)の問題です。線路が土地の工作物に当たるか否かについて、判例は土地の工作物にあたるとしています(最判昭46年4月23日)。したがって、線路は土地工作物にはあたり、AはB鉄道会社に対して土地工作物責任に基づく損害賠償を請求することができます。


よってエは妥当ではありません。


◆オ
不法行為に基づく損害賠償請求権は、被害者又は法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年で時効によって消滅します。また不法行為の時から20年によっても消滅します(724条)。しかし、判例は特殊な場合として、不法行為により受傷した被害者が、相当期間経過後に現れた後遺症のため受傷当時には医学的に通常予想し得なかった治療を必要とするに至り、その費用の支出を余儀なくされた場合には、右費用についての消滅時効はその治療を受けるまで進行しないとしています(最判昭42年7月18日)。したがって、本肢においては「Bの負傷の程度にかかわりなく、また、症状について現実に認識できなくても」としている点が妥当ではありません。

よってオは妥当ではありません。


以上より、妥当なのはアとイであり、正解は肢1です。



【 解き方 】
不法行為についてからの出題です。エのようにややマイナーな論点もありますが、他の肢は有名論点からの出題です。肢自体もそれほど迷うような肢もないと思います。組合せ問題ですから、自信をもってわかる肢から消去法で解いていくのがいいと思います。



[平成24年過去問ページへ]


[トップページへ戻る]

本サイトに記載してあることは、私の考えと経験が元になっており、すべての人の合格を保証できるものではありません。
Copyright(C)2011 後藤行政書士事務所 All Rights Reserved.