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解答
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【 解説 】
◆1
判例は、譲渡担保権者が、被担保債権の弁済期後に、目的不動産を譲渡した場合には、譲渡担保を設定した債務者は、譲受人がいわゆる背信的悪意者に当たるときであると否とにかかわらず、債務を弁済して目的不動産を受け戻すことができないとしています(最判平6年2月22日)。なお、清算金がある場合には、債権者に対して支払を求めることができますが、清算金があることを理由として不動産を受け戻すことはできません。
よって肢1は正しいです。
◆2
その通りです(最判昭62年11月10日)。集合動産譲渡担保というのは、例えば倉庫内にあるパソコン100台について譲渡担保を設定する場合です。この場合に10台のパソコンが売却されて、新たなパソコン10台が再び倉庫に入庫されたとします。そうすると実際に倉庫内を構成するパソコンそのものは流動していますが、新たに譲渡担保を設定しなくても、従前の譲渡担保の効力が及ぶというものです。
よって肢2は正しいです。
◆3
その通りです(最判平18年7月20日)。当該譲渡担保の目的である集合物から離脱したと認められるには、例えば保管場所から搬出される場合が該当します。
よって肢3は正しいです。
◆4
判例は、将来発生すべき債権を目的とする債権譲渡契約の締結時において、右債権発生の可能性が低かったことは、債権譲渡契約の効力を、当然に左右するものではないとしています(最判平11年1月29日)。したがって、将来における目的債権の発生が確実でなければならないわけではありません。
よって肢4は誤っています。
◆5
判例は、集合債権譲渡担保の第三者対抗要件を具備するためには、指名債権譲渡の対抗要件の方法によることができるとしている(最判平13年11月22日)。また、集合債権譲渡担保が設定された場合には、将来において発生する債権についても、当然に担保権の目的となるとしています(最判平19年2月15日)。
よって肢5は正しいです。
以上より、正解は肢4です。
【 解き方 】
譲渡担保に関する判例からの出題です。そもそも譲渡担保は条文があるわけではなく(非典型担保)、判例や学説の積み重ねによって構成されています。ですからきちんと判例を押さえておくことは、勉強を進めていく上で不可欠です。
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