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解答
2
【 解説 】
◆1
囲繞地通行権を主張するためには、土地の所有権の登記を具備している必要はありません(最判昭47年4月14日)。囲繞地通行権は、当該土地が袋地であることから認められるものであり、公示制度とは関係ないからです。
よって肢1は妥当ではありません。
◆2
もともとの土地の所有者が、土地を甲土地と乙土地に分筆し、袋地となった甲土地をAが買い受けた場合において、甲土地の所有者Aは乙地についてのみ通行権があり、この通行権はその後に乙土地が売却されて特定承継が生じCが所有者となったとしても消滅せず、かつこの場合には償金を払う必要がありません(最判平2年11月20日)。
よって肢2は妥当です。
◆3
賃貸借契約が有効に譲渡されるためには、賃貸人の承諾が必要です(612条1項)。本肢においては、賃貸人Bが承諾したか否かが不明であり、「当然に」乙土地を通行することができるとは言えません。
よって肢3は妥当ではありません。
◆4
地役権を時効取得するためには、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限ります(283条)。そしてここでいう「継続」とは、承役地である他人所有の土地の上に通路を開設することが必要であり、しかもその開設は要役地の所有者によってなされることが必要です。本肢においては、A自らが通路を開設していないので、乙土地上に通行地役権を時効取得することは出来ません。
よって肢4は妥当ではありません。
◆5
通行地役権の承役地が譲渡された場合において、譲渡のときに、右承役地が要役地の所有者によって継続的に通路として使用されていることがその位置、形状、構造等の物理的状況から客観的に明らかであり、かつ、譲受人がそのことを認識していたか又は認識することが可能であったときは、譲受人は、通行地役権が設定されていることを知らなかったとしても、特段の事情がない限り、地役権設定登記の欠缺を主張することについて正当な利益のある第三者に当たらないとしています(最判平10年2月13日)。したがって、要役地の所有者Aは譲受人Cに地役権を主張することができますが、これはこの場合に譲受人Cが背信的悪意者にあたるからという理由ではありません。本肢では、Cが背信的悪意者にあたるとしており、この点が妥当ではありません。
よって肢5は妥当ではありません。
以上より、正解は肢2です。
【 解き方 】
囲繞地通行権、賃貸借契約、地役権と、幅広く知識を要求される問題です。正解肢である肢2は有名な判例ですから、肢2が妥当であることは比較的すぐわかるのではないかと思います。あとは、肢4や肢5などであまり悩まないことです。
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