|
解答
3
【 解説 】
婚姻関係にない日本国民の父と、日本国民でない母との間に子(婚外子)が生まれ、出生後に父が子を認知した場合に、子に日本国籍が認められるかが争われた事案です。
旧国籍法3条1項は、この場合には父母が婚姻して子が嫡出子の身分を得た場合(準正)にのみ、日本国籍を認めていました。この国籍法の条項が憲法14条1項に違反すると判断されたのが本判決です。そしてこの違憲判決を受けて国籍法が改正され(平成20年12月)、父母の婚姻要件が撤廃されました。婚姻関係にない日本国民の父と、日本国民でない母との間に子(婚外子)が生まれ、出生後に日本国民である父が認知した20歳未満の子(婚外子)にも、日本国籍が認められるようになりました。
◆1
判例は、「区別をすることの立法目的に合理的な根拠が認められない場合、又はその具体的な区別と上記の立法目的との間に合理的関連性が認められない場合」と述べています。
よって肢1は読み取れます。
◆2
肢1からもわかるように、区別をすることの立法目的に合理的な根拠が認められない場合、又はその具体的な区別と上記の立法目的との間に合理的関連性が認められない場合には、当該区別は、合理的な理由のない差別として、同項に違反するものと解されます。つまり、区別の合理性が認められない場合に憲法違反の問題が生じることになります。
よって肢2は読み取れます。
◆3
選挙権や表現の自由が問題となる場合については、本問では何ら述べられていません。なお、肢3の内容自体は正しいです(二重の基準論)。
よって肢3は読み取れません。
◆4
判例は、「日本国籍は、我が国の構成員としての資格であるとともに、我が国において基本的人権の保障、公的資格の付与、公的給付等を受ける上で意味を持つ重要な法的地位でもある。」と述べており、さらに「合理的な理由があるか否かについては、慎重に検討することが必要である。」と述べています。
よって肢4は読み取れます。
◆5
判例は、「子にとっては自らの意思や努力によっては変えることの出来ない父母の身分行為に係る事柄である。したがって、このような事柄をもって日本国籍取得の要件に関して区別を生じさせることに合理的な理由があるか否かについては、慎重に検討することが必要である。」と述べています。
よって肢5は読み取れます。
以上より、正解は肢3です。
【 解き方 】
本問のような出題の場合には、まず判決文をきちんと読み、判例が述べていることを把握することが必要です。そして、各肢と判決文とを照らし合わせながら、正誤を判断していくことが必要です。このような出題の場合、本問のように肢の内容自体は正しいが、判決文には何ら述べられていない肢が正解の場合が多々あります(本問の肢3)。要は場面が違うということです。
なお、この判例は、現憲法下で8例目の法令違憲判決です。
[平成24年過去問ページへ]
|
|