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行政書士試験・公務員試験等合格講座−めざせ憲法の達人!
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解答




【 解説 】

◆1
内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負います(66条3項)。国会は、衆議院及び参議院の両議院で構成されています(42条)。内閣はこれらの両議院に対して責任を負うのであり、衆議院や参議院といったどちらか一方のみに対して責任を負うのではありません。

よって肢1は最も適切ではありません。


◆2
憲法上、内閣は連帯して責任を負う(66条3項)と規定されていますが、特定の国務大臣に対して単独の責任を負わせることを否定しているわけではありません。なので、特定の国務大臣の責任を追及することはできます。ただし、辞職させるなどの法的な拘束力があるわけではなく、あくまでも政治的な責任を追及できるのみです。

よって肢2は最も適切ではありません。


◆3
明治憲法においては、「国務各大臣は天皇を輔弼しその責に任ず」(明治憲法55条1項)と規定されており、天皇に対して各大臣が単独で責任を負うとされていました。連帯責任とは規定されていません。なお、後段については正しいです。明治憲法では天皇に対して責任を負うのであり、衆議院に対する責任は想定されていませんでした。

よって肢3は最も適切ではありません。


◆4
内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければなりません(69条)。つまり不信任案が可決されるか信任案が否決された場合には、衆議院解散か内閣総辞職をしなければなりません。ここで仮に衆議院解散を選んだ場合には、衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があったときに総辞職しなければなりません(70条)。なので、いずれにせよ総辞職をしなければなりませんので、総辞職が必要的に要求されることがあります。

よって肢4は最も適切ではありません。


◆5
憲法上、大臣に対する弾劾制度は認められていません。また、内閣に対して問われる責任は、政治責任であって狭義の法的責任ではありません。確かに内閣不信任決議案が可決されたような場合には、法的責任の意味合いもかなりあります。

よって肢5は最も適切です。


以上より、正解は肢5です。



【 解き方 】
肢1や肢2あたりは迷わないと思いますが、肢3以下で迷う受験生も多いのではないでしょうか。肢3で明治憲法に関する出題がありますが、明治憲法には内閣に関する規定がなかったことや、天皇に対して各大臣が単独で責任を負うとされていたことは基礎的な知識です。これを思い出せれば、肢3も最も適切ではないと判断できるでしょう。肢4と肢5で迷うかもしれません。また出題の仕方としていやらしいのは、肢4で法的責任があるような記述をしていながら、肢5で内閣の責任は政治責任であると記述している点です。ここで注目すべきは、肢5でただ単に法的責任ではなく、わざわざ「狭義の法的責任」としている点です。この「狭義」の法的責任とすることによって、内閣が負うのは政治責任であるということを主張しているのだと思います。もし、ただ単に法的責任と記載されていたとすると、肢4と肢5の場合との整合性の判断が難しくなるからです。



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