「行政書士試験・公務員試験等合格講座−めざせ憲法の達人!」のトップページ平成24年過去問>第1問

行政書士試験・公務員試験等合格講座−めざせ憲法の達人!
>行政書士試験過去問


解答




【 解説 】

◆1
その通りです。もともと英米法系の国々では判例が法源とされて拘束力を有してきましたが、他方で大陸法系の国々では法源とされてきませんでした。ただし現代においては、大陸法系の国々においても判例を法源とすることはあります。本問で問われているのは、そもそも歴史的にはどうであったということです。

よって肢1は明らかに誤ってはいません。


◆2
通常、英米法系の国々では、判決を「判決理由」と「他の部分」にわけ、「判決理由」のことを「レイシオ・デシデンダイ」と言います。そしてこの「判決理由 = レイシオ・デシデンダイ」の部分が判例としての拘束力を有します。なお、「他の部分」のことを「オビタ・ディクタム」と言います。

よって肢2は明らかに誤っています。


◆3
判例とは、狭義では法的拘束力を有する判決理由の部分を指すが、広義においてはそれのみに限らず裁判例全般を指すこともあります。何も最高裁判所の判決だけに限らず下級審裁判所の判決を含めて使われることもあります。そして下級審での判例等における一般的説示が、後の判決や立法に大きな影響を与えることもありえます。

よって肢3は明らかに誤ってはいません。


◆4
日本における裁判制度は三審制となっていますが、必ずしも三回の裁判を受けられるわけではありません。裁判の迅速化の観点から、上告審では上告理由及び上告受理申立て事由がなければ、裁判を受けることが出来ません。この上告理由および上告受理申立て事由には、憲法違反がある場合や、下級審が最高裁判所の判例と反する判決をした場合(刑事訴訟法405条2項、民事訴訟法318条1項)などがあります。なお、憲法は二審制を保障してはいますが、三審制を保障しているわけではないことも合わせて覚えておいて下さい(憲法76条1項)。

よって肢4は明らかに誤ってはいません。


◆5
最高裁判所が大法廷を開かなければならない場合は法定されています。「憲法判断をする場合」、「憲法違反の判決をする場合」、「判例を変更する場合」です(裁判所法10条各号)。なので、最高裁判所が、法令の解釈適用に関して、自らの過去の判例を変更する際には、大法廷を開く必要があります。

よって肢5は明らかに誤ってはいません。


以上より、正解は肢2です。



【 解き方 】
問題が「明らかに誤っている」となっているわけですから、あまり細かい点に気を取られずに読み進めていくことが肝心です。この手の出題の場合には、憲法や法律に違反している肢があったり、言葉の使い方を明らかに間違っている肢があったりすることが多いです(解釈論に争いがある場合ですと、「明らかに誤っている」とは言えない)。なので、あまり深く考えずに解くことが必要です。もっとも本問の場合、レイシオ・デシデンダイの意味がわからないと正解にたどり着けないので、知らなかった人はこれを機会に覚えておきましょう。



[平成24年過去問ページへ]


[トップページへ戻る]

本サイトに記載してあることは、私の考えと経験が元になっており、すべての人の合格を保証できるものではありません。
Copyright(C)2011 後藤行政書士事務所 All Rights Reserved.