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解答




【 解説 】

◆まず肢1について
その通りです。「株式会社は、その株主(当該株式会社を除く)に対し、剰余金の配当をすることができる」(453条)と規定しているだけで、回数に制限を設けてはいません。ですので、何度でも剰余金の配当を行うことができます。なお、「(当該株式会社を除く)」となっていますので、自己株式には配当できません。

よって肢1は正しいです。


◆次に肢2について
その通りです。株式会社は、株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければなりません(109条1項)。なので、剰余金の配当について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款に定めることは、株主平等原則に反して許されません。

なお、公開会社でない株式会社は、105条1項各号に掲げる権利に関する事項について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款で定めることができます(109条2項)。本問は、公開会社について問われていることに注意。

よって肢2は正しいです。


◆続いて肢3について
委員会設置会社は、必ず取締役会設置会社です(327条1項3号)。ところで取締役会設置会社は、一事業年度の途中において一回に限り取締役会の決議によって剰余金の配当(中間配当)をすることができる旨を定款で定めることができます。この場合における中間配当についての454条1項の規定(剰余金の配当)の適用については、第1項中「株主総会」とあるのは「取締役会」とするとされています(454条5項)。なので、委員会設置会社は、株主総会の承認に代えて、取締役会で剰余金の配当を決定することができる旨の定款の定めを置くことができます。

よって肢3は正しいです。


◆さらに肢4について
配当財産が金銭以外の財産であるときは、株式会社は、株主総会の決議によって、一定の事項を定めることができます(454条4項)。そしてこの場合の株主総会決議は、特別決議であることが必要です(309条2項10号)。454条4項は「定めることができる」となっており、必ずしも株主総会特別決議を要求しているとまでは言えないと思われます。しかし、肢5と比較した場合、肢5のほうが本肢より誤っていると判断できます。本肢は正しい肢とせざるを得ません。

よって肢4は正しいです。


◆最後に肢5について
株主には、剰余金の配当を受ける権利(剰余金配当請求権、105条1項1号)、残余財産の分配を受ける権利(残余財産分配請求権、同条同項2号)があります。そして株主にこれら両方の権利の全部を与えない旨の定款の定めは無効とされています(同条2項)。本肢は、剰余金配当請求権だけを付与しない旨の定款の定めであり、依然として残余財産分配請求権は有しています。なので、本肢のような定款の定めを置くことは許されます。

よって肢5は誤っています。


以上より、正解は肢5です。



【 解き方 】
肢4と肢5は微妙です。両肢を比較して、判断するしかありませんが、ここで迷ったとしても仕方がないと思います。また、問題文の一行目に「公開会社」と書かれていることを見落とさないようにして下さい。これを見落とすと、肢2を誤っているとしてしまいかねません。



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