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解答
2
【 解説 】
◆1
本肢のような契約を負担付贈与契約と言います。負担付贈与契約については、双務契約に関する規定が適用されます(553条)。なので、受贈者が、受贈の見返りとして贈与者を扶養する義務を負担していたにもかかわらず、この扶養する義務の履行を怠る場合には、贈与者は、贈与契約を解除することができます。
よって肢1は妥当です。
◆2
買主が売主に手付を交付したときは、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主は手付を放棄し、売主はその倍額を償還して契約の解除をすることができます(557条1項)。条文上は「当事者の一方が契約の履行に着手するまでは」となっていますが、判例は、履行に着手した当事者は、相手が履行に着手するまでは自ら解除することができるとしています(最大判昭40.11.24)。履行に着手した者の契約成就への期待を保護する必要があるが、自らその期待を放棄して契約解除することはかまわないということです。
よって肢2は妥当ではありません。
◆3
その通りです。判例は、賃借人が賃貸人との間の信頼関係を破壊し、賃貸借契約の継続を著しく困難にした場合は、賃貸人は、催告を要せず、将来に向かって賃貸借契約を解除することができるとしています(最判昭27.4.25)。
よって肢3は妥当です。
◆4
その通りです。委任者が委任契約の解除権を放棄していたものと解されない事情があるときは、委任者は委任契約を解除することができます(最判昭56.1.19)。簡単に言えば、委任者が委任契約の解除権を放棄している場合は解除できないが、そうでなければ解除できるわけです。委任は信頼関係に基づく契約ですから、気に入らないなら解除してよいということです。
よって肢4は妥当です。
◆5
その通りです。目的物が可分であって、完成した部分だけでも当事者にとって利益があるときは、未完成の部分についてのみ契約を解除することができます(大判昭7.4.30)。本肢では、工事内容が可分であり、しかも当事者が既施工部分の給付に関し利益を有しているので、既施工部分については契約を解除することができず、未施工部分について契約の一部解除をすることができるにすぎません。
よって肢5は妥当です。
以上より、正解は肢2です。
【 解き方 】
かなり細かい判例についても問われていますが、正解肢である肢2は有名な判例ですので、絶対に落とせない問題です。
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