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解答




【 解説 】

◆ア
連帯債務において、連帯債務者の1人が債権者に対して債権を有する場合には、その連帯債務者が相殺を援用しない間は、その連帯債務者の負担部分についてのみ他の連帯債務者は相殺を援用することができます(436条2項)。他人の債権で相殺する以上は、他人の負担部分についてのみ相殺が認められています。

他方、連帯保証において、主たる債務者が債権者に対して債権を有する場合には、連帯保証人は、主たる債務者が債権者に対して有する債権による相殺をもって、相殺適状にあった全額について債権者に対抗することができます(457条2項)。連帯保証の場合には、そもそも主たる債務者が全額の債務を負担しているからです。

よってアは正しいです。


◆イ
連帯債務において、債権者が連帯債務者の1人に対して債務を免除した場合には、その連帯債務者の負担部分についてのみ、他の連帯債務者は債務を免れます(免除は負担部分について絶対効、437条)。

他方、連帯保証において、債権者が連帯保証人に対して債務を免除した場合には、主たる債務者はその債務の全額について免れることはありません。これは、そもそも連帯保証人には負担部分がないからです。

よってイは正しいです。


◆ウ
連帯債務において、連帯債務者の1人のために消滅時効が完成した場合には、他の連帯債務者はこれを援用して時効が完成した連帯債務者の負担部分についてのみ、自己の債務を免れることができます(439条)。「債務の全額」ではありません。

連帯保証においては、連帯保証人のために時効が完成した場合でも、主たる債務者はこれを援用して債務を免れることはできません。そもそも連帯保証人は負担部分がないからです。

よってウは誤っています。


◆エ
連帯債務において、債権者が連帯債務者の1人に対してした債務の履行の請求は、他の債務者にも効力を生じます(請求の絶対効、434条)。

そして連帯保証においても、債権者が連帯保証人に対して債務の履行の請求をすれば、主たる債務者に対して効力が生じ、主たる債務の時効は中断します(458条、434条)。

よってエは誤っています。


◆オ
連帯債務において、連帯債務者の1人が債務の全額を弁済した場合には、その連帯債務者は、他の連帯債務者に対し、各自の負担部分について求償することができます(432条1項、442条1項)。

連帯保証において、複数の連帯保証人がいる場合には、連帯保証人の中の1人が債務の全額を弁済した場合には、その連帯保証人は、他の連帯保証人に対し、求償することができます(465条1項、442条)。連帯保証人は主たる債務者との間では負担部分は存在しませんが、連帯保証人が複数いる場合には、連帯保証人間では負担部分が存在します。なので、自己の負担部分を超えて弁済した場合には、他の連帯保証人に求償することができます。

よってオは誤っています。


以上より、正解は肢1です。



【 解き方 】
多数当事者の債権債務関係のところは、何が絶対効を生じ、何が相対効を生じるのかについては、きちんと抑えておく必要があります。表を作成するなどして、整理しておきましょう。



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