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解答




【 解説 】

◆1
この点について判例は、占有者がその性質上所有の意思のないものとされる権原に基づき占有を取得した事実が証明されるか、又は占有者が占有中、真の所有者であれば通常はとらない態度を示し、若しくは所有者であれば当然とるべき行動に出なかったなど、外形的・客観的にみて占有者が他人の所有権を排斥して占有する意思を有していなかったものと解される事情が証明されるときは、占有者の内心の意思いかんを問わず、その所有の意思は否定されるとしています(最判昭58.3.24)。なので、他主占有事情の立証では足りず、Bの占有が賃貸借など他主占有権原に基づいて開始された旨を立証しなければならないのではなく、いずれか一方を立証すればよいことになります。

よって肢1は妥当ではありません。


◆2
占有者の承継人は、自己の占有のみを主張することもできますし、自己の占有に前主の占有を併せて主張することもできます(187条1項)。つまり、どっちかを選ぶことができるわけです。このことは、相続の場合にも適用があります(最判昭37.5.18)。そして、自己の占有に前主の占有を併せて主張する場合には、占有者の善意無過失の判断は、最初の占有者の占有開始時に判定すればよいと解されています(最判昭53.3.6)。

したがって、CがBの占有と併合して取得時効を援用した場合には、Bが占有開始時に善意であり、かつ無過失であれば、10年で取得時効が完成します(162条2項)。CはBの占有を併せて主張すると、5年+10年で15年占有しているので、取得時効が認められます。

よって肢2は妥当ではありません。


◆3
瑕疵担保による損害賠償請求権について、判例は「瑕疵担保による損害賠償請求権には消滅時効の規定の適用があり、この消滅時効は買主が売買の目的物の引渡しを受けた時から進行する」としています(最判平13.11.27)。なので、Bの瑕疵担保責任に基づく損害賠償権は10年で時効より消滅しており、Aは消滅時効を援用してこれを拒むことができます。

よって肢3は妥当です。


◆4
この点につき判例は、「損害賠償請求権を保全するには、少なくとも売主に対し、具体的に瑕疵の内容とそれに基づく損害賠償請求をする旨を表明し、請求する損害額の算定の根拠を示すなどして、売主の担保責任を問う意思を明確に告げる必要がある」としています(最判平4.10.20)。したがって、瑕疵の内容を具体的に明示しなくても、その存在を通知すれば時効により消滅しないわけではありません。

よって肢4は妥当ではありません。


◆5
確かに、先順位抵当権者の被担保債権につき消滅時効が完成した場合、かかる債権の消滅により後順位抵当権者の順位は上昇します(順位上昇の原則)。しかし、後順位抵当権者は、先順位の抵当権の被担保債権の消滅により直接に利益を受ける者には該当せず、先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することはできません(最判平11.10.21)。

よって肢5は妥当ではありません。


以上より、正解は肢3です。



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