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行政書士試験・公務員試験等合格講座−めざせ憲法の達人!
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解答




【 解説 】

◆1
わが国では法律の適用については、原則として属地主義を採用しています(刑法1条1項参照)。日本国内で犯罪を犯した場合、日本人であろうが、外国人であろうが逮捕されます。一方、属人主義も採用されてはいますが、あくまで例外的な採用に留まっています。また、法律によって日本国民以外の者に権利を付与することは、属人主義と属地主義のいずれを採っても可能です(最判平7.2.28参照)。

よって肢1は妥当ではありません。


◆2
限時法とは、一定の有効期間を定めて制定された法律のことを言います。限時法は、特定の事態に対応するために制定されることが多いですが、あくまでも期間を定めて制定されます。仮にその期間内に事態が収束しなくても、有効期間が過ぎれば法は失効します。

よって肢2は妥当ではありません。


◆3
その通りです。法律が発効するためには、公布されることと施行期日が到来していることの双方の要件が必要です。そもそも法律内容がわからないのに、法律を守ることは無理です。公布されることによって、法律内容が一般国民にも知らされることになります。なので、法律が発効するためには公布されることが必要であり、公布の日から起算して20日を経過した日から施行されます(通則法2条本文)。

よって肢3は妥当です。


◆4
国法は、全国一律の規制を行うのが原則です。しかし、地域の特性に鑑み特別の地域に限って規制を行ったり、規制の特例措置をとったりすることは可能です。憲法も95条の規定でそれを認めています。

よって肢4は妥当ではありません。


◆5
日本国憲法においては、遡及処罰を禁止しています(憲法39条前段)。よって本肢の前段は正しいです。しかし、法律の廃止にあたって、廃止前の違法行為に対し罰則の適用を継続する旨の規定をおくことは許されています(限時法の理論)。これは、限時法に適用がある場合には、行為時には違法であった行為が、裁判時には法が失効している場合がある。この場合には、依然として罰則を適用できるというものです。

よって肢5は妥当ではありません。


以上より、正解は肢3です。



【 解き方 】
本問は、刑法の知識があるかどうかで、かなり正答率が変わってくると思います。刑法の知識がある方は、肢1、肢2、肢5については、比較的容易に正誤の判断ができると思います。そういう意味では、刑法の基礎的な概念等については、理解しておいたほうがいいかもしれません。



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