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解答




【 解説 】

◆アについて
新株予約権というのは、株式会社に対して行使することにより当該株式会社の株式の交付を受けることができる権利のことをいいます(2条21号)。そして募集新株予約権とは、株式会社がその発行する新株予約権を引き受ける者の募集をしようとするときに、当該募集に応じて当該新株予約権の引受けの申込みをした者に対して割り当てる新株予約権のことをいいます(238条1項)。この株式会社の割り当てた募集新株予約権の申込者は、割当日に募集新株予約権の新株予約権者となります(245条1項)。

よってアは誤っています。


◆イについて
募集新株予約権の募集事項の決定は、公開会社においては、原則として取締役会の決議で足ります(240条1項)。但し、有利発行にあたる場合は、株主総会の特別決議が必要となります(238条2項、309条2項6号)。

では、どのような場合が有利発行にあたるのかが問題です。新株予約権を行使して、新株を手に入れるために必要な費用(新株発行価額)は、新株予約権の発行価額と新株予約権の権利行使価額の合計金額です。そして有利発行に当たるか否かは、新株予約権の発行価額が有利か否かで判断されます(238条3項)。ところが本肢においては、「募集新株予約権の行使に際して出資する金銭」となっており、発行価額ではなく権利行使価額が問題となっています。この権利行使価額が有利であっても、これをもってただちに株主総会の特別決議が必要な有利発行とは言えません。

よってイは誤っています。


◆ウについて
新株予約権の発行が法令又は定款に違反する場合や新株予約権の発行が著しく不公正な方法により行われる場合で、株主が不利益を受けるおそれがあるときは、株主は株式会社に対し、募集新株予約権の発行をやめることを請求することができます(247条)。

よってウは正しいです。


◆エについて
新株予約権者は、その有する新株予約権を譲渡することが出来ます(254条1項)。他方、新株予約権付社債においては、新株予約権のみ又は社債のみを譲渡することは出来ません。しかし新株予約権付社債においても、社債が消滅した場合には新株予約権のみを譲渡することが出来ますし、新株予約権が消滅した場合には社債のみを譲渡することが出来ます(同条2項3項)。

よってエは正しいです。


◆オについて
新株予約権が行使される前は、その発行に伴う払込金額を、純資産の部に新株予約権として計上されます。また新株予約権が行使された場合は、その額は資本金等増加限度額に算入され(会社計算規則17条)、そこから算出された額のうち2分の1を超えない額までは、資本金として計上せずに、資本準備金とすることができます(445条2項3項)。

新株予約権行使前についてはわからなくても、新株予約権が行使された後、払込金又は給付に係る額の2分の1を超えない額を資本金に計上しなくてもよいということは基本的事項なので、ここで正誤を判断できると思います。

よってオは誤っています。


以上より、正しいものはウ・エであり、正解は肢4です。



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