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解答




【 解説 】

◆まず肢1についてです。
監査役設置会社又は委員会設置会社の株主は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、取締役会議事録等の閲覧又は謄写の請求をすることが出来ます(371条3項)。「取締役の任務解怠を理由とする責任追及を行うために」というのは株主の権利行使に該当しますが、営業時間内であれば、いつでも取締役会議事録の閲覧および謄写を請求することが出来るわけではありません。営業時間内であれば、株主がその権利を行使するため必要があるときにいつでも取締役会議事録の閲覧および謄写を請求することが出来るのは、監査役及び委員会が設置されていない会社においてです(同条2項3項参照)。

監査役設置会社又は委員会設置会社においては、それぞれ監査役又は監査委員会が取締役および執行役の職務が適正かどうかを監査するので、株主に営業時間内であれば、いつでも取締役会議事録の閲覧および謄写を認める必要がないのです。

よって肢1は誤っています。


◆次に肢2です。
株式会社の業務の執行に関し、不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があることを疑うに足りる事由があるときは、一定の数の株式を保有する株主は、当該株式会社の業務及び財産の状況を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをすることができます(358条1項)。検査役の選任を請求する相手は監査役または監査委員ではなく、裁判所です。なお、個々で言っている「一定の数の株式」とは、原則として総株主の議決権の100分の3以上の議決権を有する株主又は発行済株式の100分の3以上の数の株式を言います。

よって肢2は誤っています。


◆続いて肢3です。
監査役および監査委員が設置されていない株式会社は、公開会社たりえないので、本肢の株式会社は非公開会社です。監査役および監査委員が設置されていない株式会社の株主は、取締役の法令違反行為によって、当該会社に著しい損害が生じるおそれがあるときには、当該取締役に対して当該行為をやめることを請求することができます(360条1項)。

この場合、公開会社においては、「株主」が「6箇月前から引き続き株式を有する株主」とされます(同条2項)。さらに監査役設置会社又は委員会設置会社においては、「著しい損害」が「回復することができない損害」とされます(同条3項)。

よって肢3は正しいです。


◆さらに肢4です。
監査役および監査委員が設置されていない株式会社は、公開会社たりえないので、本肢の株式会社は非公開会社です。この場合、株主は、株式会社に対して、書面その他の法務省令で定める方法により、原則として役員等の責任追及等の訴えの提起を請求することができます(847条1項)。そして株式会社が株主による請求の日から60日以内に責任追及等の訴えを提起しないときは、当該請求をした株主は、株式会社のために、責任追及等の訴えを提起することができます(同条3項)。つまりこの場合、株主は会社を代表して提起するわけではなく、また直ちに提起するわけでもありません。

よって肢4は誤っています。


◆最後に肢5です。
監査役および監査委員が設置されていない株式会社は、公開会社たりえないので、本肢の株式会社は非公開会社です。この場合、取締役が法令違反行為を継続して行っているようなときには、株主総会において当該取締役を解任する旨の議案が否決されたり、また再任されたりしたような場合には、一定の数の株式を保有する株主は、当該株主総会の日から30日以内に、訴えをもって当該役員の解任を請求することができます(854条1項2項)。直ちに当該取締役を解任する訴えを提起することができるわけではありません。

よって肢5は誤っています。


以上より、正解は肢3です。



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