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解答




【 解説 】

◆アについて
本肢では、BがAから誕生日にもらった宝石が特別受益に該当するかが問題です。

そもそも特別受益とは、被相続人から遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた場合をいい、これはある程度大きな財産の贈与を受けた場合を指しています。誕生日のプレゼントのような場合には該当しません。確かに宝石の場合には何千万円もする高価な場合もありますが、本肢ではそこまで考える必要はなりと思います。

よってアは妥当ではありません。


◆イについて
限定承認とは、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務および遺贈を弁済すべきことを留保して相続することです(922条)。限定承認は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内に家庭裁判所において限定承認をする旨を申述しなければなりません(924条)。

これは被相続人に借金があるような場合に利用されたりします。被相続人にプラスの財産が1000万円、マイナスの財産(借金)が800万円あったような場合に、単純相続をすれば、1000万円を相続できますが、同時に800万円の借金も相続しなければなりません。この場合に、相続人が借金を相続したくない場合には、プラスの相続財産である1000万円から借金800万円を返済し、残りを相続すればよいわけです。

この限定承認は、相続人が複数いるときは、相続人全員が共同して行わなければなりません(923条)。なお、複数の相続人がいる場合に、一部の者が相続放棄をし、他の者が限定承認をすることも出来ます。相続放棄をすれば、初めから相続人でなかったものとみなされるからです。

よってイは妥当です。


◆ウについて
不在者の生死が7年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪宣告をすることができます(30条)。この場合には、7年の期間が満了したときに、失踪者は死亡したものとみなされます。他方、遺言は、遺言者の死亡のときから効力を生じます(985条)。

したがってAの遺言は、Aの生死が不明になった時から7年の期間が満了した時からその効力を生じます。

よってウは妥当です。


◆エについて
Aの無権代理人CがA所有の土地および建物をDに売却し、その後CとBが共同でAを相続したわけです。この場合について判例は「無権代理人が本人を他の共同相続人と共に共同相続した場合、共同相続人が共同して追認しない限り、無権代理行為が有効となるものではない」としています(最判平5.1.21)。

したがって「BがCと共同して追認をしないときでも」というのは妥当ではなく、BとCが共同して追認しなければ当該無権代理行為は有効となりません。

よってエは妥当ではありません。


◆オについて
失踪宣告が取り消された場合、取消の効果は遡及的無効なので、失踪宣告がなされた後の権利関係や身分関係の移動はもとに戻るのが原則です(32条)。

しかし、法は善意者を保護する規定をおいていて、これは財産関係だけでなく身分関係においても適用されるとされています(32条1項但書)。この場合の善意は、当事者が複数いる場合には全員が善意であることが必要です。

そして後婚の当事者が両方とも善意の場合には、前婚は復活せずに、後婚が有効であるとされています。

後婚の当事者のうち少なくとも一人が悪意の場合には、前婚は離婚原因になり、後婚は婚姻の取消原因になるとされています。

いずれにしても、前婚については「配偶者のある者」(732条)に該当しないため婚姻取消原因にはなりません。したがって共に重婚を理由として取り消し得ることにはなりません。

よってオは妥当ではありません。


以上より、妥当なものの組合せはイとウで、正解は肢3です。



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