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解答
3
【 解説 】
◆アについて
民法は共有状態をなるべく早く解消させようと、各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる旨を定めています。ただし、5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げません(256条1項)。さらにこの分割禁止契約は、更新することができますが、この場合も更新の時から5年を超えることができません(256条2項)。
したがってA・B・Cの間で5年間の共有物分割禁止の契約があった場合には同契約は有効であり、Aは、BおよびCに対して甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求することができません。
よってアは誤っています。
◆イについて
判例は「分割の対象となる共有物が多数の不動産である場合には、これらの不動産が外形上一団と見られるときはもとより、数箇所に分かれて存在するときでも、右不動産を一括して分割の対象とし、分割後のそれぞれの部分を各共有者の単独所有とすることも許される」としています(最判昭62.4.22)。
したがって本肢のような分割方法をとることも可能です。
よってイは正しいです。
◆ウについて
判例は「共有者が多数である場合、その中のただ一人でも分割請求するときは、直ちにその全部の共有関係が解消されるものと解すべきではなく、当該請求者に対してのみ持分の限度で現物分割し、その余は他の者の共有として残すことも許される」としています(最判昭62.4.22)。
したがって乙土地および丙土地については共有関係を解消せず、Aに対してのみAの持分権に相当する甲土地を取得させ、乙土地および丙土地はBとCの共有として残すとする分割方法をとることができます。
よってウは正しいです。
◆エについて
本肢のような状況で判例は「当該共有物を共有者のうち特定の者に取得させるのが相当であると認められ、かつ、その価格が適正に評価され、当該共有物を取得する者に支払能力があって、他の共有者にはその持分の価格を取得させることとしても共有者間の実質的公平を害しないと認められる特段の事情が存するときは、共有物を共有者のうちの一人の単独所有又は数人の共有とし、これらの者から他の共有者に持分の価格を賠償させる方法、すなわち全面的価格賠償の方法によることも許される」としています(最判平8.10.31)。
したがって、特段の事情があれば甲土地、乙土地および丙土地をAの単独所有とし、BおよびCに対してAから各自の持分権の価格を賠償させる方法をとることができますが、必ずしもこのような「方法をとらなければならない」わけではありません。
よってエは誤っています。
◆オについて
不動産を譲渡したり譲り受けをしたりした場合、第三者に対抗するためには、対抗要件たる登記を具備しなければなりません(177条)。
本肢においてAとDとの関係は177条にいうところの第三者に該当しますので、Dとしては登記を具備しなければAに持分権を主張できません。
そしてこのような場合、Aが分割請求をする場合の相手方が誰になるのかが問題です。この点について判例は「持分譲渡があっても、その登記がないためにこれをもって他の共有者に対抗できないときには、右持分がなお譲渡人に帰属するものとして共有物分割をなすべきである」としています。
つまりAとしてはB・Cを相手方として分割請求をすべきことになります。
よってオは誤っています。
以上より、正しいのはイとウであり、正解は肢3です。
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