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解答




【 解説 】

◆まず肢1です。
「物上保証人が、債務者の承認により生じた時効中断の効力を否定することは許され」ません(最判平7.3.10)。これは担保権の附従性からの結論です。主たる債務の時効が中断した以上は、担保権も時効が中断するということです。

よって肢1は正しいです。


◆次に肢2です。
そもそも差押え、仮差押え及び仮処分は、時効の利益を受ける者に対してしないときは、その者に通知をした後でなければ、時効の中断の効力を生じません(155条)。そして判例は「物上保証人に対する債権者の競売申立てにより、競売開始決定がされ、債務者にその決定正本が送達された場合には、債務者は、被担保債権の消滅時効の中断の効果を受ける」としています(最判昭50.11.21)。この場合、正本の送達が155条の「通知」に当たるということです。

よって肢2は正しいです。


◆続いて肢3です。
要役地が数人の共有に属する場合において、その一人のために時効の中断又は停止があるときは、その中断又は停止は、他の共有者のためにも、その効力を生じます(292条)。

したがって要役地の共有者Aのみが通行地役権を行使して消滅時効を中断したときは、時効中断の効力はA・B・Cの3人に及ぶことになります。

よって肢3は正しいです。


◆さらに肢4です。
共有者に対する時効の中断は、地役権を行使する各共有者に対してしなければ、その効力を生じません(284条2項)。つまり乙地の所有者Dが時効を中断使用とする場合には、A・B・Cの三人に対して時効を中断しなければならず、誰か一人に対して時効の中断をしただけでは、時効中断の効力は生じません。

よって肢3は誤っています。


◆最後に肢5です。
時効中断の効力は、原則として当事者およびその承継人の間でのみ生じます(148条)。

したがって本肢のように、A所有の甲地をB・Cの2人が占有して取得時効が完成しそうな場合に、AがBに対してだけ時効の中断をしたときは、Bの取得時効のみが中断され、Cの取得時効は中断されることはありません(時効中断効の相対効)。確かに時効中断効の相対効にはいくつか例外がありますが、本肢はこの原則を問うたものです。

よって肢5は正しいです。


以上より、正解は肢4です。


【 解き方 】
民法は地役権をなるべく存続させようという方向です。このことが頭の中に入っていれば、正解を導き出せると思います。



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