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行政書士試験・公務員試験等合格講座−めざせ憲法の達人!
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解答




【 解説 】

◆アについて
公務員による拷問及び残虐な刑罰については、諸外国だけでなく大日本帝国憲法下における日本においても、行われてきた歴史的経緯があります。そこで日本国憲法においては「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる」(36条)として、人権保障を図っています。この規定に例外を認める最高裁判例はありません。なお、死刑については、「残虐な刑罰にあたらない」との立場を裁判所はとっています。ですので、例外を認めているわけではありません。

よってアは誤っています。


◆イについて
判例は「公職選挙法252条所定の選挙犯罪の処刑者について、一般犯罪の処刑者よりも厳しく選挙権、被選挙権停止の処遇をしても、不当に国民の参政権を奪うものとはいえない」と判示しています(最判昭30.2.9)。したがって一切の制限を許さない絶対的権利とはしていません。

よってイは誤っています。


◆ウについて
裁判所は表現の自由に対する制限について、「表現の自由といえども無制限に保障されているものではなく、公共の福祉による合理的でやむを得ない程度の制限を受けることがあり」と判示し、公共の福祉を理由とした制限を許容する立場をとっています(最判平5.3.16)。

表現の自由について一切の制限が許されないとすると、何を言っても許されるということになってしまいかねません。常識的に考えて、このようなことが許されるわけがないことはわかると思います。

よってウは正しいです。


◆エについて
検閲の概念をどのように捉えるかについては、諸説争いがあります。裁判所は「検閲とは、行政権が主体となって、思想内容等の表現物を対象とし、その全部又は一部の発表の禁止を目的として、対象とされる一定の表現物につき網羅的・一般的に発表前にその内容を審査した上、不適当と認めるものの発表を禁止すること」としています。そして続けて「検閲の禁止については公共の福祉を理由とする例外も認められない」としています(最判昭59.12.12)。

よってエは正しいです。


◆オについて
現在において、憲法18条に公共の福祉を理由とした例外を許容する判例はありません。

よってオは誤っています。


以上より、正しい記述はウとエであり、正解は肢2です。



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