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行政書士試験・公務員試験等合格講座−めざせ憲法の達人!
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解答




【 解説 】

◆アについて
法曹一元制度とは、弁護士経験者の中から検察官や裁判官を任用する制度のことを言います。法曹一元制度は、英米法体系の国で採用されている制度です。他方、大陸法体型の国では法曹一元制度はとられておらず、検察官や裁判官になるためには弁護士経験は必要とされません(職業裁判官制度)。

日本においては、司法研修所における司法修習を終えた者が直ちに裁判官に任用されるのが通例ですが、弁護士の経験を有する者が裁判官に任用されることもあり、部分的に法曹一元制度が採用されています。

よってアは妥当です。


◆イについて
全体的に妥当ですが、「刑法の領域については、罪刑法定主義の観点から、判例を法源とすることは一切認められていない。」という点が妥当ではありません。英米法系の国おいては、刑法の領域においても判例が法源となることはありえます。

よってイは妥当ではありません。


◆ウについて
特別裁判所とは、特別の人間又は特別の事件について裁判するため、通常の裁判所の系列から独立して設けられた裁判機関のことをいいます。行政事件のみを取り扱う行政裁判所が、通常の裁判所の系列とは独立して設けられていれば、それは特別裁判所に当たります。ドイツやフランスなどの大陸法系の国々では、このような行政裁判所の制度がとられてきました。

他方、英米法系においては、このような行政裁判所の制度はとられず、全ての事件を通常の裁判所が裁判する制度をとっています。

日本においても、戦前は行政裁判所が設置されていました。かかる制度は、日本国憲法の施行にともない廃止されています。現在は、「すべて司法権は」、裁判所に属するとされ(76条1項)、特別裁判所は設置することができないとされています(同条2項)。

よってウは妥当です。


◆エについて
例えば、他人に暴行を加えたような場合には、暴行罪として刑事責任を負います。そしてこの場合、被害者に対して損害を賠償しなければなりません。この損害賠償は民事上の責任です。この二つの責任を負わなければなりません。

この二つの手続きを一緒にやってしまおうという制度が付帯私訴で、刑事事件の被害者が被告人に対し、犯罪行為に対する損害賠償請求を刑事手続でできる制度のことです。附帯私訴の手続きがとられますと、刑事事件の審理と民事上の損害賠償に関する審理が、同時に行われます。被告人に有罪判決が出ますと、それに続けて損害賠償を支払う旨の判決がなされます。

日本においては、付帯私訴の制度はとられておりません。ですから刑事上の責任と民事上の責任は、別々の手続でなされます。この制度は英米法系ではなく、大陸法系の国々に多く定められています。これは日本の刑事訴訟法がアメリカの影響を受けて成立していることや、刑事事件の手続の中で民事の損賠賠償も審理することになると、裁判が長期化するおそれがあることなどが理由となっています。

よってエは妥当ではありません。


◆オについて
参審制度とは、刑事訴訟手続において、市民の中から選ばれた参審員と裁判官がともに評議を行い、事実認定及び量刑判断を行うほか、法律問題についても判断を行う制度です。一般的に任期制がとられており、大陸法系の国々で採用されている制度です。

陪審制度とは、事件ごとに市民の中から選ばれた陪審員が事実を認定して評決を行う制度です。裁判官は法解釈や量刑の決定を行います。この陪審制度はイギリスで始まりアメリカに受け継がれた制度で、英米法系の国々で採用されています。

裁判員制度は、事件ごとに市民の中から選ばれた裁判員が、裁判官と合議体を構成して事実の認定とともに量刑判断を行う制度です。裁判員は法律問題にはかかわらず、法律問題は裁判官のみで判断します。2009年から日本で採用されている制度です。

よってオは妥当です。


以上より、妥当でないものはイ・エであり、正解は肢3です。



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