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解答




【 解説 】

◆1 取締役が会社から金銭の貸付を受けるような利益相反取引をする場合には、事前に取締役会の承認を得る必要があります(356条1項)。この場合には、取締役は事後にその貸付に関する重要な事実を取締役会に報告しなければなりません(365条2項)。これは、きちんと事前に開示した内容の通りなのかを事後に報告させるために、事後報告が義務付けられているのです。

よって、肢1は正しいです。


◆2
取締役会設置会社の取締役が利益相反取引をする場合には、事前に取締役会の承認が必要です(356条1項、365条1項)。そして取締役会の承認を受ければ、自己契約には当たりません(356条1項2号、2項、民法108条、365条1項)。なので、他の取締役が会社を代表する必要はありません。

よって、肢2は誤っています。


◆3
取締役がその任務を怠り、それによって会社に損害を与えた場合には、会社に対して損害賠償の責任を負います。会社から金銭の貸付を受けた取締役は、当然に会社に金銭の弁済をする義務がありますから、それを怠った場合には弁済義務が発生します。この場合に、貸付を承認する取締役会決議に賛成した取締役は、その任務を怠ったものと推定され、当該取締役と連帯して弁済義務を負います(423条1項3項3号、430条)

よって、肢3は正しいです。


◆4
取締役会の決議に参加した取締役であって、取締役会議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定されます(369条5項)。

よって、肢4は正しいです。


◆5
取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をし、それによって会社に損害が発生した場合には、取引をした取締役の損害賠償責任は免除されません(428条2項)。

よって肢5は正しいです。


以上より、正解は肢2です。


【 解き方 】
きちんと商法まで勉強が進んでいる受験生にとっては、さほど難しい出題ではないと思います。どの肢も基本的な事項に属します。

商法まで手が回らなかった受験生にとっては、どの肢も正しく思えたかもしれません。ただ正解肢である肢2については、取締役会の承認を得ている以上は、他の取締役が会社を代表しなくてもいいのではないかと、予測はできたかもしれません。そういう意味では、出題によっては冒頭の問題文にヒントがある場合もあります。また、ある程度予測するということも、わからない問題では必要かもしれません。いずれにしても、合格するためには正解しておきたい問題です。



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