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解答
3
【 解説 】
◆1
株式会社においては、株主総会に係る招集手続及び決議の方法を調査させるため、株主総会に先立って検査役が選任されることがあります(306条1項2項)。この検査役は、株式会社又は一定の要件を満たした株主が裁判所に対して選任の申立てをし、裁判所が選任します。裁判所としては、検査役選任の申立てがあった場合には、これを不適法として却下する場合を除いて、検査役を選任しなければなりません(同条3項)。
よって、肢1は正しいです。
◆2
特別取締役とは、本来は取締役会決議を要する事項のうち、一定の事項について決議権限を与えられた取締役のことを言います。取締役会設置会社であって取締役が6人以上であり、かつ、取締役のうち1人以上の社外取締役がいる会社は、3人以上の特別取締役を取締役会決議で選定することが出来ます(373条1項)。この特別取締役の過半数が出席し、その過半数が賛成した場合、重要な財産の処分及び譲受け、多額の借財に関する事項を決議することができるのです。多くの取締役がいる会社においては、取締役間の意見が割れるなどして取締役会が紛糾しかねません。そこで機動的な簡易かつ迅速な経営を可能にするために、特別取締役の制度があるのです。
よって肢2は正しいです。
◆3
代表執行役は、取締役会で選任されます(416条4項11号、420条1項)。株主総会ではありません。代表執行役にふさわしい人が誰を見極め、その代表執行役がきちんと職務をおこなっているかどうかを見極めるのは、経営の専門家である取締役を構成員とする取締役会がふさわしいからです。
よって肢3は誤っています。
◆4
会計参与とは、計算書類等を作成する株式会社の機関です(374条1項)。会計参与が作成する書類には、計算書類、計算書類の附属明細書、臨時計算書類及び連結計算書類があります。この計算書類等は、取締役と共同して作成します。また会計参与は、会計参与報告を作成しなければなりません。
なお、会計参与を設置するかどうかは各株式会社の任意ですが、取締役会設置でありながら監査役を設置していない株式会社については、会計参与の設置が義務付けられています(327条2項ただし書)。
よって、肢4は正しいです。
◆5
商法改正により、様々な形態の株式会社が認められることとなりました。現在の会社法の下では、株主総会と取締役だけが必要的機関であって、取締役会または監査役を設置していない株式会社も設立することが出来ます(326条1項2項参照)。
よって、肢5は正しいです。
以上より、正解は肢3です。
【 解き方 】
会社の機関に関する基本的な問題です。会社法の下では、株式会社と言っても様々な形態が認められています。どのような形態が認められるかを表などにして、覚えておく必要があるでしょう。
正解である肢3の代表執行役については、代表取締役を思い浮かべれば誤った肢であることがわかるのではないかと思います。これは基礎的な事項ですので、他の肢がわからなくても、正解にたどり着けると思います。
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