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解答




【 解説 】

◆ア
単元未満株式を所有する者は、会社に対していつでも自分が所有する単元未満株式の買取を請求することが出来ます(192条1項)。これは単元未満株主の投下資本回収の手段を確保するとともに、会社にとってもなるべく単元未満株式をなくしたいという目的があります。

よって、アは正しいです。


◆イ
株式会社においては、原則として社員の退社制度が認められていないため、社員の投下資本回収の手段を確保する必要があります。投下資本の回収ですから、ここで保護されているのは原則として自益権であり、共益権は保護されていません。議決権は共益権の一つですから保護されず(合併等の会社の根幹にかかわる場合は別)、議決権制限株式を発行する旨の定款変更決議に反対する株主は、株式買取請求権を行使することが出来ません(116条参照)。

よって、イは誤っています。


◆ウ
株主総会決議に反対し株式買取請求権を行使する株主は、当該株主総会に先立って反対する旨を会社に通知し、かつ、当該株主総会において当該行為に反対しなければなりません(116条2項1号イ)。

よって、ウは正しいです。


◆エ
株式買取請求をした株主は、会社の承諾を得た場合に限り、その株式買取請求を撤回することが出来ます(116条6項)。株式買取請求権は形成権なので、株主が行使した段階で法律効果が発生しています。しかし相手方である会社の承諾があるならば、誰も不利益を被らないので撤回することが認められているのです。

よって、エは正しいです。


◆オ
合併承認決議に反対する株主からの買取請求により支払った金額が分配可能額を超えてはならない旨の規定はありません。したがって取締役がその超過額について責任を負うという規定もありません。

よって、オは誤っています。


以上より、誤っているもの組み合わせはイとオであり、正解は肢4です。


【 解き方 】
組み合わせ問題ですので、わかるところから消去法で肢を絞っていく方法が正解にたどり着きやすいのではないかと思います。

アは基本的な知識に属する事項だと思いますので、正しいと判断しやすいと思います。

イについては、譲渡制限を設ける旨の定款変更の場合には、反対株主に買取請求権が発生します。しかしイで問われているのは議決権制限です。同じ「制限」ということで、混同を狙った出題だと思われます。ここで引っかからないように気をつけるべきでしょう。譲渡制限の場合には投下資本を回収する手段が奪われかねないので、反対株主に買取請求が認められていますが、議決権制限の場合には投下資本を回収する手段は確保されていますので、買取請求は認められていません。

エについては、相手方が承諾しているなら撤回しても問題ないだろうと考えることが出来れば、正しいと予想できるのではないかと思います。

オはけっこう細かい知識ですので、ここまで押さえている受験生は少ないと思います。オがわからなくても、アイエあたりがわかれば肢が絞れ、肢4を導けます。

このように各自がわかりやすいところから、肢を絞っていくのが正解への近道です。



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