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行政書士試験・公務員試験等合格講座−めざせ憲法の達人!
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解答




【 解説 】

「@甲組は、その威力をその暴力団員に利用させ、又はその威力をその暴力団員が利用することを容認することを実質上の目的とし、下部組織の構成員に対しても、甲組の名称、代紋を使用するなど、その威力を利用して資金獲得活動をすることを容認していたこと、AYは、甲組の1次組織の構成員から、また、甲組の2次組織以下の組長は、それぞれその所属組員から、毎月上納金を受け取り、上記資金獲得活動による収益がYに取り込まれる体制が採られていたこと、BYは、ピラミッド型の階層的組織を形成する甲組の項点に立ち、構成員を擬制的血縁関係に基づく服従統制下に置き、Yの意向が末端組織の構成員に至るまで伝達徹底される体制が採られていたことが明らかである。以上の諸点に照らすと、Yは、甲組の下部組織の構成員を、その直接間接の[ア、指揮監督]の下、甲組の威力を利用しての資金獲得活動に係る事業に従事させていたということができるから、Yと甲組の下部組織の構成員との間には、同事業につき、民法715条1項所定の[イ、使用者]と[ウ、被用者]の関係が成立していたと解するのが相当である。   また、上記の諸点及び@暴力団にとって、縄張や威力、威信の維持は、その資金獲得活動に不可欠のものであるから、他の暴力団との間に緊張対立が生じたときには、これに対する組織的対応として暴力行為を伴った対立抗争が生ずることが不可避であること、A甲組においては、下部組織を含む甲組の構成員全体を対象とする慶弔規定を設け、他の暴力団との対立抗争に参加して服役した者のうち功績のあった者を表彰するなど、その資金獲得活動に伴い発生する対立抗争における暴力行為を賞揚していたことに照らすと、甲組の下部組織における対立抗争においてその構成員がした殺傷行為は、甲組の威力を利用しての資金獲得活動に係る[エ、事業の執行]と密接に関連する行為というべきであり、甲組の下部組織の構成員がした殺傷行為について、Yは、民法715条1項による[イ、使用者]責任を負うものと解するのが相当である。」

以上より、正解は肢4です。



【 解き方 】
715条の使用者責任についての判例です。この判例を知らなくても、715条の規定を知っていれば、何とか正解にたどり着けると思います。[ ]の中で、一番わかりやすいのは、第一段落の最後にある[イ]と[ウ]だと思います。直前に「民法715条1項所定」とあることから、[イ]と[ウ]には715条についての記載が入るものと推測できます。715条について記載がなされて組み合わせは、使用者と被用者です。また第二段落の一番最後の[イ]には、直前に「民法715条1項による」とあることから、「使用者」が入ることがわかります。よって肢1と肢4が残ります。肢1と肢4を比較すると、[ア]にはいずれも指揮監督が入ります。異なる記載がされているのは[エ]です。ここで715条は、代理権の範囲とは関係ありません。他方、715条はまさに事業の執行がなされた場合の使用者の責任についての規定です。なので、[エ]には事業の執行が入ります。



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