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解答




【 解説 】

◆まず肢1です。
他人の不動産を売却すること自体は有効ですので、AC間の売買契約は有効に成立します。この場合、売主AはBから土地の所有権を取得して、買主Cに所有権を移転する義務があります(560条)。

売主AがBから土地の所有権を取得して買主Cに移転できない場合には、Cは悪意でも、契約の解除ができます。これは、次のような理由によります。

例え他人物売買でも、AC間の契約は有効です。売主AがBから所有権を取得すれば、買主であるCは有効に所有権を取得できるのです。つまり、Cが所有権を取得できないという事情は、いずれ消える可能性があるのです。

悪いのは、きちんとBから所有権を取得できないAなのです。その限りにおいて(BからきちんとAが所有権を取得できない限りにおいて)、Bは悪意でも保護されてしかるべき一定の理由があるのです。

このようにCは悪意でも解除ができます。しかしCが悪意のときは、損害賠償請求はできません(561条)。

よって肢1は正しいです。


◆次に肢2です。
悪意有過失の者が、所有の意思をもって平穏かつ公然と20年間他人の物を占有した場合には、その所有権を時効によって取得します(162条T)。なお、占有の開始のときに善意かつ無過失であれば、10年間で時効によって取得します(162条U)。

よって肢2は正しいです。


◆続いて肢3です。
AがBの代理人と称して売却した場合、Aは無権代理人です。無権代理の場合、相手方(買主C)は代理人Aに代理権がないことを知らなかった場合には、本人が追認するまでは契約を取り消すことが出来ます。そして相手方がいったん取り消した場合には、契約は遡及的に無効となりますので、もはやBは追認することは出来ません。もしBが追認したいのであれば、それはCが取り消す前に追認しなければなりません。

よって肢3は正しいです。


◆さらに肢4です。
無権代理人の責任の問題です。無権代理人は、自分の代理権を証明できず、かつ本人の追認を得られなかった場合には、相手方の選択にしたがい、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負うことになります(117条T)。これは相手方保護のためです。ただし、代理権のないことを相手方が知っていたとき、もしくは過失によって知らなかったときには責任を負いません。相手方が悪意有過失であるならば、そこまで保護する必要はないだろうということです。

よって肢4は誤っています。


◆最後に肢5です。
94条Uを類推適用する有名な論点です(最判昭45.7.24)。
BとAとの間には虚偽の外形を作出したことに通謀がありませんので、94条の適用はできません。しかしB自身が自らA名義で登記をして虚偽の外形を積極的に作出し、さらにそのまま放置していた場合には94条の場面に類似しています。このような場合には、Aを所有者だと信頼して買った第三者Cを保護すべく、94条Uを類推適用します。

よって肢5は正しいです。


以上より、正解は肢4です。



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