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解答
4
【 解説 】
◆1
「条例は、法律以下の法令といっても、公選の議員をもって組織する地方公共団体の議会の議決を経て制定される自治立法であって、行政府の制定する命令等とは性質を異にし、むしろ国民の公選した議員をもって組織する国会の議決を経て制定される法律に類するものであるから、条例によって刑罰を定める場合には、法律の授権が相当な程度に具体的であり、限定されておればたりると解するのが正当である」
(最判昭37年5月30日)
簡単に言えば、法律を作る国会を構成員である国会議員も、条例を作る地方議会の構成員である地方議会議員も、それぞれともに選挙によって選ばれているので、実質的には法律に準じて考えることができるということです。なので、全くの白紙委任ならいざしらず、法律によって授権され、しかも法律の授権が相当な程度に具体的であり、限定されているのであれば、問題はなかろうということです。
よって肢1は妥当ではありません。
◆2
憲法上、明文で罪刑法定主義を定めた規定はありません。しかし31条が罪刑法定主義を定めた規定だと言われています。
よって肢2は妥当ではありません。
◆3
「行政手続についても、それが刑事手続でないとの理由のみで、そのすべてが本条(注・31条)の保障のらち外にあると判断すべきではない」としています。
(最判平4年7月1日)
ただ、この判例は「行政手続は刑事手続と性質を異にし、また行政目的に応じて多種多様であるから、行政処分の相手方に事前の告知、弁解、防御の機会を与えるかどうかは、行政処分により制限を受ける権利利益の内容、性質、制限の程度、行政処分により達成しようとする公益の内容、程度、緊急性などを総合較量して決定されるべきであり、常にそのような機会を与えることを必要とするものではない」と述べています。
簡単に言えば、行政手続についても31条の保障は及ぶが、その保障の程度はそれぞれに応じて違いますよ、ということです。いずれにしても、行政手続などの非刑事手続については、その趣旨が適用されます。
よって、肢3は妥当ではありません。
◆4
31条は、手続について法律で定められればよいとされているようにも読めます。しかし、人権の手続保障の強化という点から、31条は、1法律で定められた手続が適正であること、2実体もまた法律で定められ、その実体規定も適正であることが必要であると考えられています。
よって肢4は妥当です。
◆5
31条は、手続的デュープロセス論を否定したものではなく、むしろ手続的デュープロセス論に由来しているものです。
よって肢5は妥当ではありません。
以上より、正解は肢4です。
【 解き方 】
肢1〜3をよく読むと、なんとなく否定的な方向で記述がなされています。他方で肢4は肯定的といいますか、広げようという方向で記述がなされています。つまり肢4だけ方向性が異なります。その点に気付ければ、正解に自信が持てなくても、他とは方向性の異なる肢4を選べるのではないかと思います。
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