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行政書士試験・公務員試験等合格講座−めざせ憲法の達人!
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解答




【 解説 】

◆ア 法実証主義とは、簡単に言えば実定法だけを法と認める考え方です。この考え方によれば、悪法であろうと何であろうと、法として定まっていればそれは「法」であることになります。他方、自然法においては、法源は自然、神、理性であるから、悪法は法ではないことになります。

世界史が好きな方であれば、ソクラテスが「悪法もまた法なり」と言って毒をあおって死んだと伝えられていることをご存知の方もいると思います。このような世界史の知識からも解くことが出来ます。[A]に入るのは「悪法」です。


◆イ 時効制度の趣旨は、@永続した事実状態の尊重、A立証の困難性の救済、B権利の上に眠る者は保護しない、の三つが言われています。よって[B]に入るのは「権利」です。この権利の上に眠る者は保護しないということの意味は、権利を有していても行使しない者は保護に値しないので、その権利を失う可能性があるということです。


◆ウ 自白は証拠の女王であるというのは、昔から言われてきたことです。昔は自白をさせて、それによって有罪に持ち込もうと、拷問が行われていました。そのことへの反省から、現在においては自白が被告人に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とすることはできません(38条3項、刑事訴訟法319条2項)。[C]に入るのは「自白」です。


◆エ [D]に入るのは「法」です。これは刑法の責任主義のところで出てくる言葉です。法を犯した場合には罪に問われるわけですが、罪に問われるのは、その法を知っていながら犯したからこそ罪に問われるという考え方です。法を知らない場合には法を犯したという意識がない以上は罪に問うのは困難であるという考えが根底にはあります。しかしそのような法の不知を許してしまうと、勤勉な者のほうが罪に問えるということになってしまいますので、法の不知は許されないということになるわけです。しかし現代において、この考え方をそのまま当てはめるのは、責任主義の観点から問題があるとして、この法格言がそのまま通用する訳ではありません。


◆オ 契約は遵守されなければなりません。いったん締結された契約は拘束力を有します。締結された契約の実現に向けて、当事者は努力をしなければなりません。Aと売買契約を締結した以上は、そこにはAとの契約実現に向けて拘束力が働くわけです。契約を実現しなかった場合や違反行為をした場合には、損害賠償請求をされたりするわけです。この契約の拘束力には、契約は遵守されなければならないということが根拠とされることがあります。よって[E]に入るのは「契約」です。


以上より、正解は肢4です。



【 解き方 】
それほど難しい法格言が問われているわけではありませんが、五つ全てに自信を持って答えるのは、なかなか難しいのではないでしょうか。五つの法格言が出題されていますが、そのうちの四つがわかれば肢の組み合わせから答えを導き出せます。わかる法格言から、肢を絞っていくのが得策でしょう。



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