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行政書士試験・公務員試験等合格講座−めざせ憲法の達人!
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解答




【 解説 】

◆1
下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によって、内閣が任命します(80条1項)。内閣が任命するとされているのは、三権分立の抑制と均衡のあらわれの一つです。なお最高裁判所の長官は、内閣の指名に基づいて天皇が任命し(6条2項)、長官以外の最高裁判所の裁判官は内閣が任命します(79条1項)。

よって肢1は正しいです。


◆2
最高裁判所の裁判官は、法律で定められた年齢に達したときに退官します(79条5項)。下級裁判所の裁判官も法律で定める年齢に達したときに退官します(80条1項)。それぞれの定年は、最高裁判所の裁判官は70歳、高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所の裁判官は65歳、簡易裁判所の裁判官は70歳です(裁判所法50条)。最高裁判所および簡易裁判所の裁判官についても、定年が定められています。

よって肢2は誤っています。


◆3
地方裁判所や家庭裁判所の裁判は、事案の性質に応じて、三人の裁判官による合議制で行われる場合を除き、原則として一人の裁判官によって行われます(一人制、裁判所法26条1項、31条の4)。これに対して高等裁判所の裁判は、法律に特別の定めがある場合を除き、複数の裁判官による合議制で行われることになっています(合議制、裁判所法18条)。ちなみに簡易裁判所の裁判は、一人の裁判官によって行われます(一人制、裁判所法35条)。

よって肢3は正しいです。


◆4
簡易裁判所は軽微な事件の処理のために設けられた下級裁判所であり、訴訟の目的の価額が一定額(140万円)を超えない請求に関する民事事件、罰金以下の刑にあたる罪など一定の軽微な犯罪についての刑事事件の第一審を担当します(裁判所法33条)。このように軽微な犯罪を担当する結果、簡易裁判所は原則として禁固以上の刑を課すことは出来ません。

よって肢4は正しいです。


◆5
最高裁判所は、大法廷または小法廷で審理を行うが、法令等の憲法違反の判断や最高裁判所の判例を変更する判断をするときは、大法廷で裁判しなければならなりません(裁判所法10条)。大法廷は最高裁判所の裁判官全員での審理となりますので、それだけ慎重を期しているということです。

よって肢5は正しいです。


以上より、正解は肢2です。


【 解き方 】
肢3〜5は裁判所法の知識も必要であり、かなり細かいところも出題されています。それぞれの肢については、「なんとなく正しいような気もするけど、よくわからない」というのが正直な感想ではないでしょうか。
ここで肢2を見ると、裁判官の定年のことが記載されている肢であることがわかります。まあ常識的に考えて、いくら裁判官といえども定年がないということはないのではないかと推測がつきます。しかも肢2をよく見ると、「高等裁判所…の裁判官については65歳の定年制が施行されているが、…簡易裁判所の裁判官については定年の定めが存在しない。」という記載があります。高等裁判所と簡易裁判所では、高等裁判所の方が上位機関です。より上位機関である高等裁判所の裁判官に定年があって、下位機関である簡易裁判所の裁判官に定年がないというのは、何となくおかしいような気がしませんか?このように考えがおよべば、他の4つの肢がわからなくても、妥当でなさそうなのは肢2ではないかと何となく予想が出来ます。この点、確かに高等裁判所の裁判官の定年は65歳、簡易裁判所の裁判官の定年は70歳です。上位機関の裁判官のほうが定年は早いです。しかし、上記のように考えると正解肢に辿り着けるので、本試験の現場ではそれで足りると思いますし、そう考えて肢2をマークしている受験生もいると思います。



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