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条約




条約というのは、国家間における文書による合意のことをいいます。簡単に言えば、 国と国との間の取り決めです。

条約を締結する権能は、内閣にあります。これについては、今までも至るところで お話ししてきました。条約の締結権は内閣にありますが、締結にあたっては事前に、 時宜によっては事後に国会の承認が必要です。

これは、条約の締結は、相手方もいる交渉ごとであり、このような交渉ごとについ ては、内閣が適していると考えられるからです。

そしてこの条約の締結には、国会の承認が必要です。これは一旦条約が成立すると、 国民の生活に密接に関わってくることから、国民代表機関である国会の民主的なコ ントロールを条約締結にも及ぼそうとしたわけです。なお、この国会の承認には、 衆議院の優越が認められています。

この国会の承認は、「事前に、時宜によっては事後に」となっていることから、原 則として「事前」の承認が必要と考えられます。「事後」の承認は、やむをえない ような場合に限られます。

事前承認が必要な場面で、国会の承認がなかった場合には、条約は成立しません。


問題は事後承認の場面で、国会の事後承認が得られなかった場合です。この場合、 どう考えるべきかというのは、非常に難しいです。

この点については、無効説、有効説、条件付有効説など、いろいろな説の対立があ るところであり、なかなか通説というものがないところではないかと思います。

受験対策としては、それぞれの説について一通りの理解をし、かつ覚えておいた ほうがよいでしょう。そして問題文に、「事後承認を得られなくても、有効となる ことに争いはない」とか、「事後承認を得られなければ、当然に無効となる」と いう肢があるときは、誤りの肢だと考えておいたほうがいいでしょう。 説の対立があり、判例や通説と言ったものがないわけですから、「争いはない」 というのは「おかしい」とわかると思います。


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