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条例制定権の範囲と限界




まず、憲法94条が法律の範囲内で条例を制定することを認めているので、地方公共団体が 条例制定権を有していることは、問題のないところだと思います。そしてこの条例制定権は、 憲法が法律の範囲内で制定することを認めているということも、憲法の規定から明らかだと思います。

そして条例制定権の範囲の問題は、ここでの条例制定権が、当該地方公共団体の処理する 事務に限られるということです。つまり、例えばA市の条例で、B市のことを定めること はできません。当たり前と言えば、当たり前ですね。この当該地方公共団体の処理する事務 に限られるということは、また同時に、国民全般に対して一律に定めるべき事柄を定めること は出来ないことを意味しています。この場合には、国が定めるべきだからです。

もう一つ、条例制定権には、限界という問題があります。この条例制定権の限界の問題が、 法律の範囲内に限られるという問題です。実際には、地方自治法に「法令に違反しない限り において」となっているため、「法令に違反しない限りにおいて」となります。ここで出て くるのが、条例が法令に違反するかどうかの判断の問題です。

参考判例
徳島市公安条例事件
最判昭50.9.10
「条例が国の法令に違反するかどうかは、両者の対象事項と規定文言を対比するのみでなく、 それぞれの趣旨、目的、内容及び効果を比較し、両者の間に矛盾抵触があるかどうかによって これを決しなければならない」

ここまでの問題は、憲法で「法律でこれを定める」となっていない場合です。ですから、94条 がある以上、条例の制定は可能です。可能であることを前提として、法律と競合した場合に、 どうなるのかという問題が出てきます。この問題についての判例の一つとして、上記の徳島市 公安条例事件があるのです。


つぎに、例えば、29条などでは「法律でこれを定める」となっていますが、この問題については、 憲法では「法律」でこれを定めるとなっているにもかかわらず、「条例」で定めることができるのか、 という問題です。

法律と条例では、法律の方が効力が上です。それにもかかわらず、効力が下である条例で定める ことが出来るのかが問題となっているのです。「財産権」や「罪刑法定主義」については、法律 の留保があります。「法律でこれを定める」となっている以上は、法律で定めなければならない のではないか、条例での制定はまずいのではないか、という問題が最初に出てきます。まず、 そもそも条例で定めることができるのか、という問題です。ここが、先ほどの場合と違うところです。


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