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大学の自治





ここでは大学の自治を取り上げます。

学問の研究の場としては、実際には大学が中心となっています。歴史的にみても学問は 大学を中心として発展してきました。そしてこの大学において学問研究が自由に行われる ためには、大学への外部からの干渉を排除し、自主的な運営が行われることが必要です。 そのため、大学の自治が制度的保障として認められています。

大学の自治の内容としてとりわけ重要なものが、人事の自治、施設管理の自治と学生管理 の自治の三つです。ここでは比較的出題されている、施設管理の自治及び学生管理との絡み で東大ポポロ事件判決を取り上げます。

東大ポポロ事件判決
最判昭38.5.22
「大学の自治は教授その他の研究者は、その研究の結果を教授する自由を・・・認められ、 ・・・大学の自治が認められる」「学生の集会は学問の自由と大学の自治の範囲において 認められるものにすぎず、それが真に学問的な研究又はその結果の発表のためのものではなく、 実社会の政治的社会的活動に当たる場合には、大学の有する・・・学問の自由と自治は享有しない」

この事件は、東大の「ポポロ劇団」というところが主催の演劇発表会が、東大内の教室で 行われているときに起こった事件です。

簡単に事件の概要をお話しますと、東大の教室で演劇の発表会があったわけです。その観客 の中に私服の警察官がいたんです。その私服警官を学生が発見し、暴行を加えたました。警察官 は長期にわたり大学内に立ち入って情報の収集をしていたというのが事件の概要です。

この事件の判決が上記のものです。

まず、判例は大学の自治は教授や研究者が主体となっているものであって、学生ではないことを 述べています。また、実社会の政治的社会的活動に当たる場合には、大学の自治を享有しないことを述べています。

大学の自治といっても、そもそも治外法権ではないことは当たり前のことですし、警察がまったく 立ち入りできないわけではないのも当たり前です。

他方、自由に大学内に立ち入って情報収集活動をしていいかと言うと、大学の自治を侵すことになりかねません。

ですから、上記判例が、警察官による情報収集活動については不問としている点などに批判も多いです。

でも試験対策としては、大学の自治の主体となっているのは教授や研究者であり、実社会の政治的 社会的活動に当たる場合には大学の自治を享受しないという点を押さえておくとよいでしょう。

余談ですが、この判例を読むたびに「ポポロン」というお菓子を思い出してしまう私です。余計な話ですみません。


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