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平等権




今回は、法の下の平等を取り上げます。

これ、「ほうのもとのびょうどう」と読みます。簡単に言えば、法はすべての人に平 等であるということです。

ここでちょっと考えてみましょう。「法の下の平等」という言葉からすると、まず 「法」があって、その適用にあたっては、「全ての人に法が平等に適用される」という ように聞こえませんか。

確かに、このように考えますと、平等に法が適用されますので、「適用」の部分での 不平等や差別というものはありません。

しかし、これでは法の内容が不平等だった場合に、真の意味での平等が実現出来ませ ん。

例えば、「他人の物を盗んだ場合には、A市の市民は懲役10年、B市の市民は懲役 1年」という法律を作った場合を考えてみましょう。適用の場面では平等に扱われま すから、窃盗を犯せばA市民は皆懲役10年、B市民は皆懲役1年となります。

でも、これではA市民とB市民とで著しい差が生じ、真の平等とは言えません。法の 内容があまりにも不平等ですよね。

ですから、つまり法の内容の平等が必要となるわけです。

そこで、憲法の法の下の平等というときの、「法の下」というのは、法の適用だけで なく内容も要求しているものとされています。

法の内容を要求しているということは、法を作るところ、つまり立法者を平等な法を 作るように拘束しているのです。ですから、このことを立法者拘束説といいます。


ただ、このように法の下の平等の規定が定められているとしても、社会通念上合理的 であると認められるような、異なる取り扱いは合憲とされています。例えば、高額所得 者の税率を高くしたり、未成年者の喫煙を禁止したりすることが、これにあたります。 このような取り扱いを相対的平等といいます。


ところで、平等権を規定している14条を見てみると、「人種、信条、性別、社会的身分 又は門地」という言葉が書かれています。そして、これらのことにより「差別されない」と なっています。

では、これ以外のことを原因として、差別してもいいのでしょうか。

そんなことはありません。これらの事由は、歴史的に差別原因となってきたものを、例示的 に列挙したにすぎないのです。これら以外の事由によっても、不合理な差別は禁止されて います。

また逆に上記の事由による場合でも、合理的な理由に基づく差別ならば、差別することも できると考えられています。

ただ、上記の事由にあたる場合には、差別する側(つまり公権力側)で、その合憲たる合理的 な理由を、立証しなければならないとされています。これに対して、上記の事由にあたらない 差別の場合には、それによって差別される側(つまり国民側)で、その違憲たる理由を、立証 しなければならないとされているのです。

最後のところは、ちょっと難しいかもしれませんが、裁判の過程で証明する責任 がどちらにあるのかという問題です。
実際の裁判では、「証明する」というのは、非常に大変なことです。証拠を集めたり しなければなりませんからね。証明できなければ、裁判で負けてしまいます。 ですから、証明する責任があるということは、それだけ負担が大きくなるわけです。


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